木造住宅 コスト

建築主との信頼関係を築くための「コストコントロールの極意」を伝授。正しいコスト感覚をつかんで、価格変動の“波”を乗りこなそう!

日々激しく変動する建物のコスト。コスト管理に苦手意識をもつ方も多いかと思いますが、これを疎かにしてしまうと、建築主とのトラブルにつながるおそれも。ですが、コストをしっかりと管理することができれば、根拠のある数字に基づいたさまざまな設計の提案が可能になり、建築主との確かな信頼関係を築くことができます。「正しいコスト感覚を身につけたい!」という方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。

予算額の大幅超過で契約解除の判例も!
いま問われる、「コスト管理力」と「コミュニケーションの力」

過去には、設計者側が予定工事額の1.7倍にあたる見積り額を提示したことが債務不履行にあたるとして、建築主が設計者を訴えた事例も。これ対して、東京地裁は「見積り超過による契約解除は妥当であり、建築主はそれまでの設計料を設計者に支払う義務はない」とする判決を下し、東京高裁もこれを支持。被告となった設計者側は「見積り額の超過については事前に説明しているし、コスト調整についても話し合うつもりだった」と主張しましたが、実際は建築主との間でコンセンサスが得られておらず、その言い分は認められませんでした。

見積りオーバーに赤信号! いま問われるコスト調整力

本件における問題点の1つは、コスト管理がうまくできておらず、見積金額が工事予定額とかけ離れてしまったこと。トラブルを回避し、建築主からの信頼を獲得するためにも、根拠ある見積り・コスト管理の力が必要なのです。

信頼されるコストデザインの極意

本書第1部では、正しい概算の出し方や見積りのチェック法など、「根拠あるコスト管理」で建築主に信頼される極意を各工事別に伝授します。

詳細見積りで信頼を勝ち取る

仮設工事 「一式+足場」は×
基礎工事 コンクリートは割り切って拾おう

ここでは、無理なく短時間で精度の高い見積りを出す方法を紹介。見積書に記載される工事項目ごとの金額は「単価×数量」で算出されていますが、その単価の設定と数量の拾い方について、詳しく解説しています。

 

シミュレーションを通して、コストコントロール術を身につけよう

本書第2部では、建築場所・地盤条件などの「敷地的要因」と平面形状・屋根形状などの「設計的要因」が変化した際にコストがどのように変動するのかを把握できるよう、要因別にシミュレーション。

コストシミュレーション[敷地・設計的要因編]

さらに、仕上げ材を変更した場合に下地~仕上げのコストがどのように変わるのか、床・壁・天井などの部位ごとに詳しく解説しています。

 

コスト管理によって建築主との信頼関係を築く

冒頭の事例にはもう1つ、大きな問題がありました。それは、設計者と建築主との間でのコミュニケーション不備により、コスト調整に関するコンセンサスが得られていなかったこと。たとえ見積金額が予算額をオーバーしても、建築主とのコミュニケーションがうまくとれていればトラブルは回避できていたかもしれません。

コストから見えてくるもの

注文住宅が竣工するまでには、野球における「1,000本ノック」のように、設計者と建築主との間で数えきれないほどの質問のやり取りが繰り返されます。設計者からの質問には、程度の差はありますが、コストの問題を含んだ内容であることがほとんど。コストを中心にした質問のやり取りを通して、建築主には次第に迷いがなくなり、新しい暮らしに対する方針が定まっていきます。一方、設計者も打ち合わせを重ねていくなかで建築主の生き方の軸が少しずつ見えてきて、そこから新しい提案が生まれ、よい信頼関係が構築できるケースもあります。

本書では、コスト削減のためのコツや、コストトラブルを未然に防ぐための実践的なコラムも充実。
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木造住宅のコストがわかる本

木造住宅のコストがわかる本 改訂版

定価:2,800円+税
建築知識 編
ページ数 144
判型 B5判
発行年月日 2023/08/07
ISBN 9784767831626

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