
※瓦でも、フラットなフランス瓦のように交互に並ぶものもある
屋根のシルエットは印象に残る
「屋根」は、建物のシルエット、つまり「っぽさ」を決める大きなパーツといえます。
過去の連載でふれた「北になるほど鋭角になる」「瓦の有無」などは、西洋・東洋に共通する要素でしたが、今回はより西洋「っぽい」屋根の違いを見ていきましょう。
「っぽい!」ポイント【1】
庇の描き分け
西洋民家の屋根を見ると、庇(屋根の端)部分に「追加の三角」の形がついていることがあります。
日本(アジア)建築の「反り」と似ていますが、西洋の場合基本的に直線+直線の組合せになります。(これは丸い搭状の屋根でも変わりません)
※絵の表現として「反り」を描くことは海外でも多い。
尖った反りにすると西洋っぽく、広がった反りにすると東洋っぽくなる
「っぽい!」ポイント【2】
ドーマー窓
「ドーマー窓」は、日本の伝統建築にはない、最も西洋建築「っぽい」パーツの1つといえるでしょう。
主に屋根裏部屋、あるいは屋根階の部屋の採光のためにつけられています。
「っぽい!」ポイント【3】
瓦葺き
「わら葺き」「瓦葺き」「板葺き」のように、屋根を材料で覆うこと全般を「葺く」といいます。
ヨーロッパの瓦は赤茶色が基本で、色がまばらになっていることも多いです。
スペイン瓦、イタリア瓦
西洋の瓦というと、縦長のカマボコ型が並んだ屋根を思い浮かべる方も多いでしょう。
これはスペイン瓦、イタリア瓦の形です。
フランス瓦
フランス瓦はゆるい波形、凸凹形、フラット形……など、
いろいろな種類があります。
「っぽい!」ポイント【4】
板葺き
板葺きは主に「木」「石(スレート)」「金属」など、いろいろな材料のものがあり、形もさまざまです。
基本的に、板が交互に並んでアミダ模様になります。
「っぽい!」ポイント【5】
煙突
最後に煙突。これは西洋「っぽさ」として一番簡単で分かりやすいパーツといえるでしょう。
今回は屋根まわりについて、基本的な西洋「っぽさ」を紹介しました。
屋根が合わさった三角の部分を「ゲーブル」といいますが、西洋建築はギリシャ時代のペンデンティブから「三角の形」を「家らしさ」ととらえているように思います。
このお話は次回の窓・玄関でまた触れる予定です。お楽しみに。
「っぽく」描ける!ファンタジー背景講座 記事一覧
著者プロフィール
犬丸
大手ゲーム会社に十年ほどグラフィッカーとして勤務。
退職後、フリーとして漫画やハウツー本などを制作(他、パース講師、ゲーム制作協力、背景アシスタント、シナリオ制作など)。
趣味で古代〜近代くらいの建築(主に西洋)の書籍を数百冊ほど収集している。
著書に『かんたん! マンガパース術』『かんたん! クリップスタジオ漫画術』(いずれも新書館)など。
X/@kuroinusha
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