椅子・机はどう組み合わせる?
まずは「差尺」を押さえる
差尺とは、椅子の座面高さと、机天板の高さの差のことです。
椅子の座り心地は、座面高さ・角度、背もたれの高さ・角度などが影響します。
そこに合わせる机の高さは、くつろぎ方に合った差尺を指標とするとよいでしょう(⇒特集25ページ)。
この差尺をベースに、各用途・シーンで押さえるべきコツをご紹介します!
住宅(リビング)
ソファにサイドテーブルを合わせる場合、高さや大きさを悩む人も多いのではないでしょうか。
ソファのサイズは概ね、座る人数によって規格があります。座面の高さ・広さ、背もたれの高さを好みのくつろぎ方から選び、そこに合わせるテーブルを検討しましょう(⇒特集24ページ)。
※1 カウチソファとは、背もたれの高さよりも座面の奥行きが長く、寝転がることができるソファのこと
※2 小柄な人や、高齢者は浅めのほうが座りやすいこともある。最適な奥行きは体格や好みの過ごし方によって異なる
住宅(ダイニング)
ダイニングテーブル・ダイニングチェアは大きさに加え、脚の形状を併せて考えると使い勝手がよくなります(⇒特集24ページ)。
※1 シェーカー様式(シェーカー教徒によってつくられた、実用性を重視したシンプルさが特徴な家具様式)のテーブル。四隅に脚がなく、立ち座りしやすいのが特徴
飲食店
飲食店ではさらに、椅子・机を複数組み合わせるうえで、配膳に必要な机の広さや確保すべき通路幅、店の回転率や叶えたい雰囲気に合わせた高さやデザインを検討します(⇒特集50ページ)。
※1 昨今は小さな店舗が流行しており、これまでは坪当たり1.5 席が一般的だったが、今後は坪当たり2席を確保できるよう設計するとよい。また、視線がぶつからないように席を配置するなど工夫して、客席数が多くても閉塞感なく居心地のよさを感じる空間づくりを心がけたい
※2 2人がすれ違えるようにするには1,200㎜以上の通路幅を確保したい
※3 座面の硬さも回転率に影響を与える。回転率を高めるには硬めがよいが、最低限のクッション性は必要だ。また、リラックスを売りにした店であれば軟らかめのほうがよいが、座面が沈み込みすぎると食事がしにくくなるので注意が必要
※4 座面高さと回転率は直結する。座面高さが低いほど落ち着くため回転率は低くなり、高いほど立っている状態に近づくため回転率は高くなる
オフィス
住宅や飲食店ではくつろぎ方を考える一方で、オフィスでは、フロア面積に対する収容人数などのソフト面や、業態に合わせた机の大きさ・レイアウトが必要です。また不特定多数の人が使いやすいと思えるためのフレキシビリティも求められます(⇒特集25ページ)。
学校など
同じく不特定多数の人が利用しやすい計画が求められる大学やホールでは、机やメモ台と椅子が一体になったものが多く用いられます。これらを連結椅子といい、通路幅や差尺はあらかじめ製品に加味されています(⇒特集27ページ)。
学校の講義室・講堂をはじめ、映画館、劇場、ホール、集会場などで多く用いられる連結椅子には、建築安全条例や火災予防条例などによって細かな配置の規制があります。各都道府県によって規制内容は異なりますが、特集では東京都を例に分かりやすく解説していますので、こちらも要チェックです!(⇒特集27ページ)
このように、単に「机・椅子」と言っても、その寸法には多くの知識や考えが必要になり、シーンに応じて最適な組み合わせは無数にあります。
家でのテレワーク、カフェのようなオフィス、家のようなカフェ、など用途を横断するような設計が求められている昨今、この一冊さえあれば、用途別の寸法を部位ごとに比較・検討することが容易にでき、よりよい解が見つかるはずです!
目次構成
建築知識24/01 建物種類ごと寸法図鑑
定価 1,800円+税
ページ数 142
判型 B5判
発行年月 2023/12
ISBN 4910034290147