「国宝の、どこがすごい?」がマルわかり
「国宝」と聞くと、なにやらスゴそうな気はします。
では実際、どこがどうスゴいのでしょう?
(中学の歴史で習ったような……おばあちゃんに教えてもらったような……)
安心してください。
本書の「ここがすごい」マークを見れば、それがひと目でわかります。
たとえば、法隆寺(奈良)にある玉虫厨子。
マークが付いている箇所のひとつは、装飾についてです。
本物の玉虫の翅を敷き詰めていて、それが今も、2,500枚以上残ってるんですって。
眺めるだけじゃわからない絵画も、見どころ、スゴさがスルスルわかる
わからないと言えば、絵画です。
「考えるな、感じろ」と言われても、
(技術的に)絵が上手いなぁ、以上のことを、
初心者が感じるのはなかなか難しい。
しかし!
国宝を前に、それはもったいないのです。
事前にいくつかの情報を知っておくだけで
「あら、本当にこりゃスゴい」と、描き手の妙がわかります。
同時代あるいは同作者の作品と比べても、
国宝はやっぱりスゴい理由を、ぜひ本書でお確かめください。
実際は見られないところまで。図解だからおもしろい。
さて。
見どころたっぷりの国宝は、もちろん写真で紹介することもできます。
それをあえて(作るのはとっても面倒くさい)図解にしたのは、
写真では撮れないアングルで、イラストにしかできない表現でお伝えしたかったから。
たとえば、浄土寺浄土堂(兵庫)の阿弥陀三尊像。
堂を真横から切っています。
すると、
なぜ像をここに置きたかったのか、
より神々しく見せるためにどんな工夫がされたのかなど
この像に込めた当時の人々の想いがよくわかります。
本物を見に行くときは、連れて行こう。
本書を読んで、本物が見たくなったらぜひ現地まで足を運んでみてください。
大きさ、重量感、色や質感の美しさに、きっと圧倒されるでしょう。
そしてできれば、現地でもこの本を開いてみてください。
ただ眺めるだけでは気づけない、隅々に隠された見どころを本書とともに追うことで、
何度も感動できるはずです。
『国宝の解剖図鑑』
定価 1,600円+税
著者 佐藤晃子
ページ数 160
判型 A5判
著者情報
佐藤 晃子(さとう・あきこ)
美術ライター。日本、西洋の絵画をやさしく紹介する書籍を多数執筆する。明治学院大学文学部芸術学科卒業。学習院大学大学院人文科学研究科博士前期課程修了(美術史専攻)。