Point1木造住宅はここ30年くらいの間に大きく変わりました
構造・断熱・構法のここ30年の変化はあまりに大きく、多分野にわたるものでした。そのため、書店に並んでいる専門書が、布基礎、根太、横胴縁、和小屋を前提に解説しており、そのままでは実務に活用できない、という状況が長らく続きました。
構造は、大地震のたびに基準が強化され、熊本地震を契機に耐震等級3への適合が求められるようになりました。構造ソフトの利用が一般化し、梁や基礎を設計する際に、許容応力度計算を行うケースも増えてきました。
断熱は、かつての隙間だらけのスカスカが、厚く隙間なく包みこむ断熱に置き換わり、樹脂サッシ、アルミ樹脂複合サッシが住宅の開口部の標準になりました。「高断熱高気密」という概念が浸透し、壁・屋根に通気層を設けた家があたり前につくられるようになりました。
構法は、布基礎がベタ基礎に、手刻みの軸組がプレカットに置き換わり、筋かいと火打ち梁で地震・風に抵抗する形式から、ツーバイフォーのように面で抵抗する形式が主流になりました。また厚物合板を使う根太レス構法と呼ばれる省力構法が一般化しました。
Point2魅力的な住宅をつくるための設計手順
本書では、最新の構造・断熱・構法の考え方と整合性を取りながら、魅力的な住宅をデザインするにはどうしたらよいかを解説。「構造・断熱・構法・デザインをいっぺんに考えたらこうなる」ということを示した、ありそうでなかった木造住宅の教科書です。
本当に大事なものから設計することが、魅力的な住宅を生み出す近道です。ほとんどの設計者が疑いもなく採用している「間取り→窓→屋根→構造・断熱」という従来型の設計方法では、魅力的な住宅は絶対に生み出せません。この本では、「屋根→中間領域→窓→架構→矩計→間取り」という真逆の設計手順を推奨。章立てもその順番どおりになっています。
ただし、本文は1頁または見開き単位の読み切りなので、どこからでも読み始められます。木造住宅の設計中であれば、どんな場面にでも使えるのがこの本のよいところです。
ある時は屋根の形を考えるためのアイデア集として。またある時は、詳細図集として。流通材の寸法調査、梁成算定、n値計算、屋根の架構方式決め、断熱の方式決めなど、あらゆるシーンで建築家手帳的に使えます。索引もあるので探しやすさも言うことなしです。
Point3施工手順が分かると納まりも分かります
ベタ基礎+根太レス+和小屋の施工手順も載せました。こういう、現在最も一般的な在来軸組の施工手順が書いてある本ってほとんどないのです。施工手順が分からないと材の勝ち負けや仕口形状が決められませんから、どうしても必要な知識です。
設計者が必ず悩む、屋根の標準納まりもいくつか載せています。屋根通気を取りながら、すべてフラット35の仕様規定で、6地域、等級4を満たす断熱性能を確保しています。壁を120㎜厚の高性能グラスウール充填断熱にして、樹脂サッシを組み合わせれば、6地域で、HEAT20G2、断熱等級6をクリアすることもできるくらいの性能です。
断熱上級者向けに付加断熱の組み方も載せました。右の絵は最下段に補助桟と呼ばれる材を入れたところがミソです。断熱材の厚みが大きくなると、パネリードなどの曲げで効かせる太いビスは極めて小さい力しか受けられないので、階層ごとくらいにせん断でビスを効かせないと壁が垂れる可能性があるのです。
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定価 2,200円+税 著者名 飯塚豊 ページ数 224 判型 A5判 発行年月日 2022/11/04 ISBN 9784767830438
著者
1966年東京都生まれ。1級建築士。法政大学デザイン工学部兼任講師。’90年早稲田大学理工学部建築学科卒業。’90 ~ 2003年大高建築設計事務所に在籍、メタボリズム建築の巨匠・大高正人氏に師事する。’04年i+i( アイプラスアイ)設計事務所を設立。暮らしが愉しくなる間取り・高い居住性能・オリジナリティあふれるデザインを三位一体でまとめ上げる設計手法で一躍脚光を浴びる。これまで設計してきた住宅は100棟を超える。著書に9万部を突破した『間取りの方程式』(弊社刊)、『新米建築士の教科書』(秀和システム刊)がある。