手裏剣は忍者専用の武器ではない
古武術において、手に持った武器を敵に投げつけることも「手裏剣術」といいました。
逆に、手裏剣術について書かれた忍術伝書はほとんどなく、『伊賀流忍術隠火之巻』という書物に八方手裏剣などが少し記載されている程度です。
とはいえ、武術に精通していた忍者のことですから、彼らも手裏剣の腕を磨いていた可能性は高いでしょう。
ちなみに、手裏剣術には「乱定剣」といって「ピンチの時は手近な物をなんでもいいから投げつけて、その場をしのげ」という教えがあります。
投げられるものは、すべて手裏剣になるのです。
手裏剣の定番は、棒形
星形の手裏剣は存在しますが、鉄を星形に加工するのはとても手間がかかります。
作りやすくて、持ち運びやすい「棒手裏剣」のほうがより実用的です。
攻撃力はあまり高くない
基本的に手裏剣だけで敵を倒せるほどの攻撃力はありません。
相手に投げつけて、怯ませたり、隙をつくったりするのには効果的です。
いろんな体勢から攻撃可能
「①縦打ち」
「②横打ち」
「③袈裟(右斜め)打ち」
「④逆袈裟(左斜め)打ち」
といろんな投げ方があります。
上達すれば、寝ながら投げられるようにもなります。
手裏剣術の練習法
手裏剣術の練習には竹串を使います。
手のひらに竹串を乗せ、親指で軽く押さえるように持ちます。
的は、発泡スチロールやパズルマット、建築資材のスタイロフォームなどが向いています。
基本的な投げ方は「直打法」です。
手から離れた竹串が90度(4分の1)回転して、的に刺さるように投げます。
はじめは、的から1メートルほど離れた場所で練習してみましょう。
周りに気をつけて、人や物を傷つけないように注意してください。
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定価 1,500円+税
ページ数 128
判型 A5判
発行年月 2023/03
ISBN 9784767830865
解説
習志野青龍窟(ならしの・せいりゅうくつ)
忍道家。武術家。松聲館技法研究員。港区防災アドバイザー。各種イベントや国内外のメディアに多数出演。映画の忍術指導も担当。山修行や断食の実践、稽古、国際忍者学会への参加など精力的に活動している。今に役立つ温故知新の心身運用法を指導している。小学校や大学などでセミナーや教室なども開催している。
X(旧Twitter)アカウント:習志野青龍窟 忍道家(@3618Tekubi)
YouTube:忍道家 習志野修行チャンネル
イラスト
齊藤きよし(さいとう・きよし)
忍術研究家。デザイナー。イラストレーター。パルクール講師。桑沢デザイン研究所卒業後、某自動車企業勤務を経て独立し、現在は「Shinobi Design Project」を立ち上げ活動。自ら古典的な忍術を研究・修行・実践し、現代の仕事や暮らしに活かせる生きた忍術を探求。学校等で忍術を活かした体験・実践的な情報教育の指導も行う。著書に『図解 万川集海』。「SDP STORE」にて忍器・忍具の製作と販売も行う。
X(旧Twitter)アカウント:きよし|デザインと忍者とパルクール(@Kiyoshi_Design)
公式ホームページ:Shinobi Design Project