忍者が編み出した、多彩な足音の世界へようこそ

忍術書の『正忍記』には、忍者が夜道を歩くに気をつけるべきことについて書かれた「夜道の事」という教えがあります。
今回はそのなかの「足音」に関連する教えを紹介します。

深草兎歩(しんそうとほ)

しゃがんで手のひらを地面につけ、手の甲に足を乗せて進みます。
手がクッションになるので、足音を出さずに暗闇を歩くことができるとされます。

体の柔軟性や関節の可動域を鍛える鍛錬になります。

 

足なみ拾ヶ条

「足なみ拾ヶ条」の教えは、足音を変えることで相手に間違った印象を与え、撹乱することが狙いであると考えられます。
敵の姿が見えない暗闇の中では、相手の正体を判断するうえで、足音が重要な情報になるからです。

ぬき足:静かに足を引き上げて歩きます。

 

すり足:地面を擦るほど、低く足を出します。

 

しめ足:地面を踏みしめるように歩きます。

 

飛び足:跳ぶように歩きます

 

片足音:片足で歩く、または片足を引きずるような音を立てて歩きます。

 

大足・小足:大股・小股で歩きます。

 

刻み足:小刻みに歩きます。

 

はしり足:走ります。

10個目の歩きかたは、「常の足」。その名の通り、普通に歩きます

 

夜の潜入忍務の時は、雪駄や草履などの足音が鳴る履物は避けましょう。

 

第8回へ、つづく

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『キャンプ気分ではじめる おうち防災チャレンジBOOK』

定価   1,500円+税
ページ数    128
判型        A5判

発行年月   2023/03
ISBN 9784767830865

 

解説

習志野青龍窟(ならしの・せいりゅうくつ)

忍道家。武術家。松聲館技法研究員。港区防災アドバイザー。各種イベントや国内外のメディアに多数出演。映画の忍術指導も担当。山修行や断食の実践、稽古、国際忍者学会への参加など精力的に活動している。今に役立つ温故知新の心身運用法を指導している。小学校や大学などでセミナーや教室なども開催している。
X(旧Twitter)アカウント:習志野青龍窟 忍道家(@3618Tekubi
YouTube:忍道家 習志野修行チャンネル

 

イラスト

齊藤きよし(さいとう・きよし)

忍術研究家。デザイナー。イラストレーター。パルクール講師。桑沢デザイン研究所卒業後、某自動車企業勤務を経て独立し、現在は「Shinobi Design Project」を立ち上げ活動。自ら古典的な忍術を研究・修行・実践し、現代の仕事や暮らしに活かせる生きた忍術を探求。学校等で忍術を活かした体験・実践的な情報教育の指導も行う。著書に『図解 万川集海』。「SDP STORE」にて忍器・忍具の製作と販売も行う。
X(旧Twitter)アカウント:きよし|デザインと忍者とパルクール(@Kiyoshi_Design
公式ホームページ:Shinobi Design Project