屋根の雨漏り対策で注意したいのが野地合板下地材の腐朽です。腐朽する要因は、①換気量の不足と、②野地合板の湿気を逃がせていないことが挙げられます。
「①換気量の不足」に関しては、棟換気までの通気経路を確保するといった施工方法が一般的です。
設置本数が不足しており、十分な通気が取れていないため、野地板材が腐朽するリスクがある。特に北側での腐朽する事例が多い
屋根断熱を採用したときの通気の図。野地下の通気の連続性が取れており、換気棟の設置本数が十分である
「②野地合板の湿気を逃がせていない」ことへの対策はまだ普及していませんが、野地合板下部だけの通気だけでは腐朽が防げないことが、最近の実験や改修時に分かってきました。
下のグラフを見ると、野地合板と屋根材が密着する従来の工法では、野地合板の含水率は60〜80%で腐朽しやすい状態であることが分かります。
従来工法の屋根面中央部の野地合板の含水率は50%以上で、危険な状態であることが分かる ※グラフの①~⑨は、屋根の野地裏に設置した含水率計の位置を示す。①~③は水上側、④~⑥は中間部、⑦~⑨は水下側
合板下部の通気ができていないため、合板が腐朽し、カビの発生や釘の腐食の原因となっている
これを防ぐために、野地合板と屋根材の間に透湿ルーフィングを使う方法がありますが、屋根材と野地合板が密着していると、透湿ルーフィングを透過した後の湿気を外に出す経路がありません。経路をつくるためには、野地合板と屋根材の間に通気経路を確保するといった施工が必要で、手間が増えてしまいます。
その手間をなくすのが、通気層をもった屋根材「デネブエアルーフ」(ハウゼコ)。通気リブが加工されているので、合板の上部から透湿ルーフィングを介して湿気を逃がしてくれます。
「デネブエアルーフ」は、一般的な立平葺きと意匠性は変わらないが、高い耐久性、確実な通気性、施工しやすさを兼ね備えている
「デネブエアルーフ」を使った場合の野地合板の含水率は、腐朽菌の発生が抑えられる20%程度となっている ※グラフの①~⑨は、屋根の野地裏に設置した含水率計の位置を示す。①~③は水上側、④~⑥は中間部、⑦~⑨は水下側
「デネブエアルーフ」は換気部材メーカーであるハウゼコが開発。ガルバリウム鋼板の立平葺きと同じ特徴をもち、①ガルバリウム鋼板の軽く、素材自体の耐久性が高い、②立平葺きは雨切れがよいため、急勾配から緩勾配まで対応できる、③太陽光パネルを設置する際に、屋根に孔をあけずに済むキャッチ工法が使える、といった利点も享受できます。また、「デネブエアルーフ」の施工は従来の立平葺きと変わらないため、手間やコストも余分にかかりません。
これからのスタンダードとなる強く、美しい屋根の実現に向けて考えてみてはいかがでしょう。
テキスト:編集部
取材協力:ハウゼコ