テーマを象徴する建物を中央に配置してインパクトを与える
「建築知識」2024年7月号の特集テーマは「新石器・古代王朝から清朝まで 中国の建物と街並み詳説絵巻」。イラストは「赤提灯があるような中国のレトロな街並み+パンダ(猫熊)と猫」というコンセプトで制作しました。中国らしいアイテム(提灯、蓮、窓枠などの模様)をちりばめたり、建物や女の子の服に赤色を使ったりして、中国らしさを演出しました。
イラストのアイデアを得ようと中国の街並みの写真を集めていると、日本ではあまり見かけない「川にかかる丸い橋」が散見されました。とても印象的だったので、イラスト中央部に配置。アーチが大げさに見えますが、実際の資料でもこのくらいの高さでした……!
「建築知識」の表紙イラストではいつも白猫を描いていますが、今回はテーマにちなんでパンダ柄の猫を登場させています。
ポイント1 オリジナルデザインの格子を描いて“中国らしさ”を演出
中国風の格子を平面的に描いてコピーペーストし、背景に合わせて変形をして下書きをつくります。格子のデザインは実際の中国の格子や模様などの画像を参考に、オリジナルで作成したもの。この格子を描くことで風景に“中国らしさ”が出て、絵のおもしろみが増しました。
ポイント2 提灯1つひとつの揺れ方を変えて動きを出す
橋の天井の提灯は、さまざまなデザインの提灯を描いた後、バランスを見ながら配置します。配置した後は風を感じられるよう、ランダムに傾けたり、房をなびかせたりして動きを出しました。手前の提灯は、それぞれの提灯に「おく」(奥)「まえ」(前)とどちらの方向になびいているかメモ書きをした後に描き分けました。提灯をさまざまな方向に傾けることによって、絵に動きが出てイメージしていた中国の雅やかな雰囲気を演出できました。
ポイント3 橋の奥を明るくして遠近感を出す
橋の奥に見える建物を塗りつぶし、その範囲を明るくします。私が絵を描く時に一番大切にしていることは「分かりやすさ」。「ここはどうなっているのだろう?」と少しでも思わせてしまうような部分があると混乱を招くので、分かりやすさを常に意識しながら描いています。今回は橋の奥に見える建物一帯を明るくすることで、橋の手前と奥の境界線が分かりやすくなり、遠近感も一気に出せました。
\完成イラストはこちら/
TAOさんのイラストが表紙の「建築知識」2024年7月号は、本日6月20日(木)より発売。ぜひ書店やエクスナレッジストアで詳細をチェックしてみてください!
TAO(たお)
2020年1月よりフリーランスのイラストレーターとして活動を開始。広告ポスターやwebサイトのメインビジュアルなどで、主に女の子と日常的な背景のイラストをデジタルで制作している。繊密な描き込みが得意。著書に『「ごちゃごちゃ」した絵の描き方 好きなものを好きなだけ詰め込んだ密度の高いイラスト』(翔泳社)がある。
「建築知識」2024年7月号
「新石器・古代王朝から清朝まで中国の建物と街並み詳説絵巻」
読者のみなさまからのリクエストが途絶えなかった「中国の建築と街並み」を徹底解説する特集が、ついに発売されました! 建物に限らず、中国王朝のしきたりや人々の暮らしぶりも紹介しているので“中国3000年の歴史”を学ぶ入門書として役立つこと間違いなしです!
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