アニメ「逃げ上手の若君」がもっと楽しくなる!中世日本の建物や人物、服装がわかる資料本5選

「逃げ上手の若君」をもっと楽しみたい!建物や服装・歴史背景が分かる 鎌倉~室町時代の資料本5選

アニメ「逃げ上手の若君」、ついに始まりましたね!原作ファンとしては時行の前に次々と立ちはだかる個性的すぎる敵将たちの登場を心待ちにしつつ、エクスナレッジの編集部員としては、その建物や服装、背景の史実を踏まえた完成度の高さに完全に虜になってしまいました。今回は、そんな中世日本を描くのに役立つ資料本をご紹介。ぜひ創作の参考や、副読本としてお役立てください。

どんなところで暮らしていたの?
「建築知識2022年8月号 日本の家と町並み詳説絵巻」

キャラクターは描けたけど、背景がどんな風景だかわからない!どんなところに住んでいたのか知りたい!そんな時は、「建築知識」がおすすめ。執筆陣には第一線の研究者を迎え、美麗イラストで分かりやすく建物の歴史を解説した特集です。

特に時行たちが生きている南北朝時代は、武家が貴族に対抗していくためにその文化を取り入れつつ、新しい文化を醸成していく過渡期。資料は多くなく、建築の歴史でも少し難しい時代です。


平安時代に貴族の住まいとして完成された「寝殿造(しんでんづくり)」。時行が住んでいた若宮大路御所もこの形式で描かれていましたね。儀式が行われる南に面した庭を中心とした構えです。平安期には公的な儀式と住まいの両方の機能を持っていましたが、次第に儀式の場としてのみ使われるようになります。


武家の住居では機能に応じて建物が分かれていき、寝殿造の建物は残しつつも、室内を主とした接客空間である「会所(かいしょ)」が生まれ、「座敷」や「茶室」がつくられ、外廊下で建物をつないだ「書院造(しょいんづくり)」へとつながっていきます。建具を取り外しできる柱空間の寝殿造と比較すると、障子がはめ込まれて部屋が四角く区切られ、畳が敷き込まれるなど、現在知られる和風住宅に近い姿になっていることが分かります。

そのほかこちらの特集では、平安時代からの庶民の住まいや、中世の京都で発生した町家など、普通の人の住まいについても解説!
縄文時代のムラから江戸の町、家一つひとつだけでなく「町並み」がどんな風景だったのか、日本の住まいの歴史が全部わかる1冊です。

「建築知識2022年8月号 日本の家と町並み詳説絵巻」
定価 1,800円+税
判型 B5判
PDF版の「建築知識」が購入できるのは7/20まで!≪今なら500円分のポイントもプレゼント中≫

衣服の違いや構造を知りたい!
『日本の装束解剖図鑑』

歴史ものにおいては、服装も重要なファクター。正式な儀式のときの正装とちょっとした外出の普段着が違うのはもちろん、身分によって着る服や、着て良いもの・だめなものが決まっていました。
しかも、今とは全然違う服の構造や用語が多く、なかなか一度では覚えられません。
そんな時はこちらの本がおすすめ!貴族の儀式装束から武士の日常着まで、さまざまな服装をオールカラーで紹介しています。

「逃げ上手の若君」主人公の時行が1話で着ていたのは、こちらの「水干(すいかん)」。もたつきそうにも見えますが実は動きやすい服装で、アクロバティックに逃げ回る時行にはぴったりかも。

こちらは武士の日常着である「直垂(ひたたれ)」。戦時はより豪華で細身の「鎧直垂」を着用していました。
どんな人物が・いつ・どんな時に着るかといったTPOが分かりやすく記されているので、資料性抜群。用語は総ルビで、さらなる資料探しの助けにもなります。

『日本の装束解剖図鑑』
定価 1,600円+税
著者名 八條 忠基
ページ数 128
判型 A5

服装の細部までこだわりたい!
『日本の文様 解剖図鑑』

どんな服装をしていたかの基礎知識がついたところで、意外と困るのが模様や色彩。映える画にしたいけれど、あんまり適当な模様を描くのは…。と思う方には、文様の資料集がおすすめ。

日本の伝統的な文様について、その意味やバリエーション、使われかたをモチーフごとに解説した内容です。
創作作品で、服装の細かな部分にも伏線や趣向を凝らしたい、という方にも手に取ってみていただきたい1冊です。


『日本の文様 解剖図鑑』
定価 1,600円+税
著者名 筧 菜奈子 (著)
ページ数 160
判型 A5判

悲喜こもごもの戦の歴史を知りたい!
『日本の合戦解剖図鑑』

足利尊氏の裏切りによる、鎌倉幕府倒幕から始まった「逃げ上手の若君」。歴史的には「元弘の乱」と呼ばれる史実です。
日本の歴史を動かした出来事や時代の転換期には必ずと言ってよいほど武力衝突=合戦がありました。覇権争い、権力構造の変遷、世相など国の命運は合戦の結果に左右されてきたのです。本書はそんな「戦」に注目し、古代から明治維新までの主要な合戦を網羅。戦況図、主要な場面絵、武将、時代への影響などをパッと見てわかるよう豊富なイラストで徹底的に図解しました。
監修は「逃げ上手の若君」と同じく、東京大学史料編纂所教授の本郷和人先生です!

北条時行が起こす「中先代の乱」ももちろん掲載。なぜ「中先代」と呼ばれるのか、諏訪頼重や彼らの最期についてなども解説しています。
ただし、史実は最大のネタバレ。調べるときはご注意くださいね。

『日本の合戦解剖図鑑』
定価 1,600円+税
著者名 本郷和人 (監修), かみゆ歴史編集部 (編集)
ページ数 160
判型 A5判

戦う武将たちの人生と生き様を知りたい!
『戦国武将の解剖図鑑』

少し時代がくだりますが、武将たちの人間ドラマに興味がわいた方はこちらもおすすめ。
織田信長・武田信玄など誰もが知る戦国武将はもちろんのこと、戦国大名第一号として知られる謎多き北条早雲、徳川四天王として人気の高い本多忠勝など、50名あまりの戦国武将の戦と生涯を図解した1冊!

家紋や相関図、武将としての能力評価など、知りたいことが1見開きにぎゅっと凝縮された紙面。こちらも、監修は本郷和人先生が担当されています。
生涯についてだけでなく戦時の兜・鎧・武器から平時の服装、茶器などの持ち物、城なども解説しているので、創作資料としてもお役立ちです!

『戦国武将の解剖図鑑』
定価 1,600円+税
著者名 本郷和人
ページ数 159
判型 A5判