写真トレースを使わずに、立方体から複雑な学校の椅子の後ろ形を描く方法

皆さんは曲線のある物体を描くとき、苦労した経験はありませんか?
トレースできる素材があれば、ある程度複雑な形を描ける人でも、「自由なアングルで描こうとすると曲線は苦手」という人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな方でもトレースに頼らず学校の椅子の「クニャ」を描けるようになるポイントをお教えします!

学校の椅子の「クニャ」を描けるようにする

今日は、「学校の椅子」の描き方をやっていきたいと思います。
皆さんどうでしょう。
机は箱型ですけど、椅子ってなんか「クニャ」っとしたところがあって、苦手意識のある方もいるかもしれません。
たとえば、この背もたれとか、座面の部分って難しそうでしょ?
今回は、その苦手意識を「描きたい」っていう欲望に、変えていけるように、分かりやすく解説していこうと思います!

 

まずは箱からはじめる

学校の椅子は、このような立方体のアタリをベースにします。

これだけでも既に椅子っぽいですが、やはりどこか抽象的で、リアリティに欠けますね。

まずは、足元のパイプから。
大まかに描いていきますよ。
ここは、CLIP STUDIOの「パース定規」を当てながら描くと結構ラクにいけると思います。
ちなみに、背もたれの線は、垂直に立てるよりも、少し後ろに倒したほうがそれっぽくなります。
(めんどくさければ、垂直でもぜんぜんOKです)

 アタリのラインに沿って、細部を肉付けしていくと、このようなパイプが出来上がります。

ここまでは、直線的な描写でもなんとかなりますね。
さあ、問題は「座面」と「背もたれ」の部分です!

 

座面は、前側の面を下げて、お尻側の角を丸くする

いったん他の部分を消して、座面をただの四角形からはじめます。
おそらくパースが少しでもわかっている方は、この四角形を描くのはそんなに難しくないと思います。

側面は、パース定規で直線に描けますね。

まず、ポイントは「座面の先端(前側)部分」。
ここは、少し下にカーブしています。
上と下の線をどちらも少し下にカーブさせてから、直線でつなぎます。
どうでしょう。
座面の先端部分が床に向かって、落ち込んでいる感じが描けていませんか?

 反対のお尻側の部分にいきます。
四角形を基準に角を曲線で削ってあげるのがポイントです。
このとき側面のカーブのはじまりが、パースで直線を引いたときに、同じ場所に来るように注意してください。

板に厚みを加えて、足元のパイプを合わせてみましょう。
どうですか?
わるくないんじゃないでしょうか?

 

背もたれは、「一つ分ズラし」と「マーキング」

最難関の背もたれにきました。
この背もたれ!「カーブだらけでどうしようかな」って感じですね。
こういう時も、まずは直線のパイプから考えてみましょう。

このパイプを曲げていくわけなんですが、ポイントは「一つ分ズラし」と「マーキング」です。
ちょっとやってみましょう。
下側のパイプのちょうど真ん中の辺りを、パイプ一つぶん右にズラして、そこにマーキングします。

上のほうのパイプも同じようにやっちゃいましょう。
真ん中の部分をパイプ一つ分ズラして、マーキング。

それからよく見ると、上のパイプは角の部分も大きくカーブしてますよね。
カーブのはじまりと終わりの部分にマーキングをしておきましょう。
そしてパイプの行き着く先にもマーキング(写真の▼マークの部分)です。

 さあ、ここまで目印を描いてきましたよ。
あとは、これまでの目印めがけて、パイプの線を結んでいくだけです!
パイプの丸みを意識して描いてください。
一緒にやっていきましょう。

さあ、どうでしょうか?
しっかりパースが付いた曲がったパイプが描けたんじゃないでしょうか。

 

 「背もたれ板」を描いて完成

最後「背もたれ板」いきます。
背もたれもパースの付いたシンプルな四角形を基準にやっていきます。
角にはカーブがついています。

真ん中はパイプに沿って少しだけズラします。

奥側の角は、少し内側で落ちちゃう感じですよね。

最後に板に厚みを付けて、奥側のパイプの線も描き足していきます。

どうでしょうか?
写真と比べてみましょう。
あー、写真では背もたれの板が下に向かって、パイプの陰に隠れていってますね。

なので少し違いますけど、まあまあこんな感じでいいんじゃないでしょうか(笑)
あとは、線を整えて、細部の描き込みを調整していけば、いい感じの学校の椅子になると思います。

こういう感じで、直線を基準にして、少しずれた場所に目印を置き、それを曲線でつなぐことで、苦手なカタチが描きやすくなったりします。
皆さんもぜひ試してみてください。

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第4回へ、つづく

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MAEDAX
鹿児島県出身。福岡の短大を卒業後、瀬口たかひろのアシスタントとして2 年半活動。週刊漫画連載のチーフアシスタントなどを勤め、15 年に渡り実績を詰む。兄弟子にあたる畑健二郎は「プロのアシスタントとしては恐ろしく有能で、もの凄い技術の持ち主」と評する。同名義で声優名鑑に載るなど、多方面に活躍し、漫画家アシスタントとして日本で一番の知名度を誇る。独立後、フリーのアシスタントを経て201311月に『アシスタント背景美塾』を立ち上げる。著書に『MAEDAXの背景萌え!』(一迅社)、 『即戦力の漫画背景』(幻冬舎コミックス)がある。
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