イラストレーターTAOが解説!積み重なった建物の描き方|演出力を底上げするイラスト描き方講座【第5回】

緻密な描き込みを得意とするイラストレーターのTAOさん。2024年1月号から「建築知識」の表紙イラストを担当しています。そんなTAOさんが、毎月の「建築知識」の表紙イラストをもとに、「イラストの演出力」を底上げする描き方を解説! 今月は積み重なった建物の描き方を伝授します。

TAO(たお)
2020年1月よりフリーランスのイラストレーターとして活動を開始。広告ポスターやwebサイトのメインビジュアルなどで、主に女の子と日常的な背景のイラストをデジタルで制作している。繊密な描き込みが得意。著書に『「ごちゃごちゃ」した絵の描き方 好きなものを好きなだけ詰め込んだ密度の高いイラスト』(翔泳社)がある。

 

「建築知識」2024年11月号の特集テーマは「大改正 建築基準法・建築物省エネ法」。表紙のイラストは「水中の街」というお題をもとに制作しました。

海上にポツンと佇む建物から地下へ降りると、そこには大きな水中都市が広がっています。
水中のおうちで暮らす女の子は、部屋にジンベエザメの写真を飾るほどのジンベエザメ好き。窓の近くに突如現れたジンベエザメにテンションが上がっているようすを描きました。あまりの大きさにネコも興味津々です!
[使用ツール:CLIP STUDIO PAINT

 

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ポイント1 ガイドラインを設定して建物を描く

建物を描くときは、ドアの高さと天井の高さが分かるガイドラインを書きます。

ピンクの線がそのガイドラインです。塗りつぶしてある部分はドアの高さ、白い隙間は天井までの高さの目安となります。

このガイドラインを描くとドアの高さ、窓の位置、建物の高さを決めやすくなります。
ドアの高さはガイドラインに合わせて描きます。
窓の位置は、ドアの高さ、もしくは少しドアより低い位置に描くと自然な高さになります。
建物高さは、2階建てではガイドラインを2つ重ねて、5階建てではガイドラインを5つ重ねます。こうすることで建物の高さが割り出せます。

このガイドラインによって窓の位置や建物の高さも分かるので、ドアのない(ドアを描かない)建築物のイラストを制作するときでもガイドだけは書くようにしています。

ガイドラインを参考にしながら積み重なった建物が描けました。
天上の高さは建物によって異なるため、ガイドラインより少し高い位置に天井を描いたりもしました。

 

ポイント2 大きいモノから順に背景を描き込む

建物の形と窓を描けたら、さらに細かい要素を描き足します。

背景を描くときは、大→小の順番で描くと描きやすいです。これは建物に限らず、室内イラストの背景などでも同様なので、ぜひ覚えておいてください!

【それぞの背景を描く時の順番例】
建物:建物の形(大)窓やドア(中)配管や煙突、室外機など(小)
室内:部屋の形(大)テーブル、棚などの家具(中)小物(小)

最初から細かい部分まで描こうとすると混乱してしまうので、基本的にはこの順番で描き進めていくのがオススメです。
配管や室外機・煙突(海の中なので室外機“風”・煙突“風”です)、看板などを描き足すことによって生活感が出て、情報量も増やせました。

 

ポイント3 資料を参考に生き物の色を塗る

海の生き物の色を塗ります。
ジンベエザメ、ウミガメ、魚などは写真で色味や模様の形をよく観察して塗ります。

 

 

実際に存在している生き物や植物などを描くときは、なるべく本物を参考にしながら、間違いがないように描くようにしています。
私はネコが好きなのですが、ネコが「らしく」描かれている絵を見るのが大好きです。
なので、ジンベエザメが大好きで詳しい方がこのイラストを見ても違和感がなく、むしろ楽しんでいただけるように、本物に忠実に模様を塗りました。

 

\完成/

 

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TAOさんのイラストが表紙の「建築知識」2024年11月号は、本日10月19日(土)より発売。ぜひ書店やエクスナレッジストアで詳細をチェックしてみてください!

令和7年施行分を中心に、最近の法改正のポイントを詳しく解説します。
リアルなイラストや豊富な図表を用いて、「この改正でどんな規制や緩和を受けるの?」という疑問を解決。
建築士法やバリアフリー法などの関連法規の改正や、建築基準法の基礎もおさらいできます。

さらに、令和7年度施行分の目玉となる「省エネ基準適合義務化」や「4号特例の縮小」については、大人気イラストレーター・ぱんだにあ氏作画の解説マンガを掲載!
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