ロンドン生まれの小説家・織守きょうやが選ぶ 食欲の秋に読みたい5冊

『記憶屋』(2025年、KADOKAWA)で日本ホラー小説大賞読者賞を受賞後、映画化。『花束は毒』(2021年、文藝春秋)で第5回未来屋小説大賞を受賞。ホラー、ミステリからエッセイまで、幅広く豊かな世界観を持つ作品で読者を惹きつける小説家の織守きょうや先生。現在【建築知識】にて『英国の怖い家』を連載中です!
大の食通でもある織守先生から、食欲の秋に読みたい5冊の本を教えていただきました。

織守きょうや先生が選んだ本はこちら!

 1.千早茜『わるい食べもの』

2.北野佐久子『イギリスのお菓子とごちそう アガサ・クリスティーの食卓』

3.ローラ・インガルス・ワイルダー『大草原の小さな家シリーズ 大きな森の小さな家』

4.岸田麻矢『異国のおやつ』

5.きくち正太『瑠璃と料理の王様と』

千早茜『わるい食べもの』(集英社文庫)

知的でさらりとした文章から、おいしいものへの愛が滲み出るエッセイ。著者の情熱には強く共感したり、「こういう感じ方もあるんだ」と新鮮に感じたり。繊細で、ちょっぴり偏屈なところも好ましく、楽しい。続刊も連載も追いかけて読んでいます。
新井見枝香さんとの共著『胃が合うふたり』(新潮社)もすごくいいです。

わるい食べ物

著者:千早 茜
2022年3月18日発売
660円(税込)
文庫判/256ページ
ISBN:978-4-08-744363-9

北野佐久子『イギリスのお菓子とごちそう アガサ・クリスティーの食卓』(二見書房)

スコーン、プディング、クランペットなど、アガサ・クリスティー作品に登場する英国の伝統的な食べ物を、わくわくするような写真とともに紹介、解説している一冊。関連作品の内容にはあまり踏み込んでいないので、たとえクリスティを未読でも、おいしいものや英国文化に興味がある人は楽しめるはず。レシピつきです。

イギリスのお菓子と本と旅 アガサ・クリスティーの食卓

著:北野佐久子
発売日:2023年12月8日
本体:1,900円(税別)
SBN/雑誌コード:9784576231426

ローラ・インガルス・ワイルダー『大草原の小さな家シリーズ 大きな森の小さな家』(講談社 青い鳥文庫)

『大きな森の小さな家シリーズ』の一冊目。開拓時代のアメリカ文化が学べる上、シリーズ全巻もれなく食べものがおいしそうです。この巻は冬支度のために豚を一匹始末するエピソードから始まり、塩漬け肉にベーコンにラード、しっぽまで無駄にしない様子が丁寧に描かれていて、いきなり心をつかまれます。かえで蜜のキャンデーやクリスマスのごちそうにも心がときめいて……。子どものころからずっと本棚にあり、無限に読み返してしまいます。

大草原の小さな家シリーズ 大きな森の小さな家 (新装版)

著者名 著:ローラ.インガルス・ワイルダー 訳:こだま ともこ 訳:渡辺 南都子 絵:丹地 陽子
発売日 2012年08月10日
価格 定価:748円(本体680円)
ISBN 978-4-06-285302-6

岸田麻矢『異国のおやつ』(エクスナレッジ)

ヨーロッパ、アジア、北南米と、バラエティに富んだ世界のおやつを、その文化的背景とともに紹介しているガイドブック。写真がいっぱいで、世の中には食べたことのない素敵なお菓子がこんなに……! とわくわくします。実際にここに行けば食べられる、というお店も一緒に紹介してくれていて実用性も高い上、眺めているだけでも楽しい一冊。

異国のおやつ

定価 1,600円+税
著者名 岸田麻矢
ページ数 172
判型 A5判
発行年月日 2020/09/11
ISBN 9784767827797

きくち正太『瑠璃と料理の王様と』(講談社)

食堂の二代目店主で女子大生の瑠璃が作る料理が、どれもこれもおいしそうでたまらない食堂美食マンガ。特に四巻に登場する豚角煮の炊き込みごはんがもう……今想像しても食べたくなってしまいます。作り方もしっかり作中で紹介されて親切。同じ著者の『おせん』シリーズも大好きで全巻持っています。こちらもおすすめ(こちらは料亭が舞台)。

瑠璃と料理の王様と(1)

著:きくち 正太
発売日 2015年10月23日
価格 定価:649円(本体590円)
ISBN 978-4-06-354599-9
シリーズ イブニングKC 全13巻

織守きょうや先生は建築知識で連載中!

織守きょうや先生の連載『英国の怖い家』を【建築知識】にて好評連載中です。当連載では英国の中の有名な「幽霊の住む家」の物語を辿り、英国の文化と歴史を見つめます。イラストは数多の英国の住宅を訪問し、その魅力を描いてきた山田佳世子さんです。
こちらから第一回『ロンドン一有名な幽霊屋敷、バークリー・スクエア50番地』の回を読むことができます!ぜひお楽しみください。

ロンドン生まれの小説家・織守きょうや先生が英国の幽霊と城にまつわる歴史と、そこに隠された秘密を紐解いていく一冊です。 数多の英国の住宅を訪問し、その魅力を描いてきた山田佳世子氏がイラストで幽霊城を物語ります。 英国の歴史の扉を開ける鍵となる一冊。

英国の幽霊城ミステリー

定価 2,000円+税
著者名 織守きょうや(文) 山田佳世子(イラスト)
ページ数 216
判型 A5判
発行年月日 2023/04/27
ISBN 9784767831367

建築知識11月号の連載『英国の怖い家』のテーマはロンドンの高級ホーンテッド・ホテル『ザ・サヴォイ』です。
13名でのパーティーが行われるときは、14人目の客として席に着く黒猫の像・キャスパーの秘密とは? 今月号もお楽しみに!

建築知識24/11 大改正 建築基準法・建築物省エネ法 特別付録「建築知識手帳2025 」付き

定価 1,800円+税
ページ数 142
判型 B5判
発行年月日 2024/10/19
ISBN 4910034291144

著者プロフィール

織守きょうや(おりがみ・きょうや) 

 1980年ロンドン生まれ。2013年『霊感検定』(講談社)でデビュー。2015年『記憶屋』(KADOKAWA)で日本ホラー小説大賞読者賞を受賞。ほかの作品に『黒野葉月は鳥籠で眠らない』(双葉社)、『ただし、無音に限り』(東京創元社)、『響野怪談』(KADOKAWA)、『花村遠野の恋と故意』(幻冬舎)などがある。『花束は毒』(文藝春秋)で第5回未来屋小説大賞を受賞