イラストレーターTAOが解説!雪の質感の出し方|演出力を底上げするイラスト描き方講座【最終回】

緻密な描き込みを得意とするイラストレーターのTAOさん。2024年1月号から「建築知識」の表紙イラストを担当しています。そんなTAOさんが、毎月の「建築知識」の表紙イラストをもとに、「イラストの演出力」を底上げする描き方を解説! 今月は雪の質感の出し方を伝授します。

TAO(たお)
2020年1月よりフリーランスのイラストレーターとして活動を開始。広告ポスターやwebサイトのメインビジュアルなどで、主に女の子と日常的な背景のイラストをデジタルで制作している。繊密な描き込みが得意。著書に『「ごちゃごちゃ」した絵の描き方 好きなものを好きなだけ詰め込んだ密度の高いイラスト』(翔泳社)がある。

 

「建築知識」202412月号の特集テーマは「水族館・プラネタリウム、酒蔵から客船ターミナルまで 建築設備大全」。表紙のイラストは「雪、かまくら」というお題をもとに制作しました。

かまくらで暮らしている女の子。どうやら、これから鍋を食べるようです。
外には郵便受けも付いていて、何日かここで過ごしているのかも。電気も使えるようで、かまくらでの暮らしは想像以上に快適そうです。
猫たちもブラウン管テレビやこたつで暖をとり、のんびりつくろいでいます。
[使用ツール:CLIP STUDIO PAINT

\YouTubeでメイキング動画を公開中!/

 

ポイント1 素材を活用して背景をつくり込む

複雑なモチーフを描く時には、WEB上で配布されている素材のブラシや3Dモデル、画像を活用して背景をつくり込みます。時間短縮になるので便利です!私の使っているソフト「CLIP STUDIO」では「CLIP STUDIO ASSETS」というWEBページでさまざまな素材をダウンロードできるので、それを使用することも多いです。

 今回は樹木を描く際に素材を使用しました。
針葉樹にはブラシ素材、木の枝には画像素材を使用。木の枝はそのまま素材をなぞるのではなく、全体のバランスを見ながら少しアレンジを加えました。

 

ポイント2 作品のテーマに合わせてモノに模様を描き込む

全体の色を塗り終えたら、モノに模様などを描き込んでいきます。資料を参考ながら描いたり、今回のテーマに合わせて和柄を取り入れたりもしました。いつも私が描く絵に比べて、多くのモノに柄を描き込むことでにぎやかさを演出。資料を参考にしたものは、しっかり観察して再現することで「らしさ」が表現できます。

資料を参考にしたモノ:花の水墨画、日めくりカレンダー、漫画、ぽん酢、シマエナガ、天気予報、鍋
和柄を取り入れたモノ:ペン立て、湯呑、壁掛けポケット、女の子の左後ろにある緑の物
他の柄:食器、ステッカー、こたつ

模様を描き込む前

模様を描き込んだ後。絵の情報量がグッと増えました

 

ポイント3 ノーマルなブラシで雪を描く

かまくらの影はあえてデコボコさせることで雪の質感を表現。「建築知識24年1月号」でも雪が降っている場面を描きましたが、今回はかわいらしさを出すために雪の表現方法を変えてみました。使用するブラシを変えるだけでも印象がかなり変わります!

 

建築知識24年1月号:ザラザラとした質感のあるブラシ

建築知識24年12月号:質感のないノーマルなブラシ

雪が積もった地面には猫の足跡を描いて、寒い外から暖かいこたつに入った様子を表現しました。

 

\完成/

 

\YouTubeでメイキング動画を公開中!/

 

TAOさんのイラストが表紙の「建築知識」2024年12月号は、本日11月20日(水)より発売。ぜひ書店やエクスナレッジストアで詳細をチェックしてみてください!

住宅からオフィスビル、商業施設までありとあらゆる建物の運用に欠かせない「建築設備」。
人が建物内で快適に過ごすために必要な空気・水・電気などをコントロールする、重要な役割を担っています。
昨今では省エネ基準の引き上げに加え、建物内の快適性と省エネ性能の両立がより求められるようになりました。
そこで本特集では、さまざまな用途の建築設備を、実例をもとにした立体イラストで分かりやすく解説!
普段は見えない配線・配管のルートが一目で理解できます。

押さえておきたい建築設備の「基本」と「仕組み」だけでなく、
水族館、プラネタリウム、酒蔵、客船ターミナルなど特殊な用途の設備機器・設備計画も幅広く学べる一冊です。