【立ち読み動画つき！】石たちは語る！多彩な鉱物たちの集合「共生」の世界

本書は、他に類を見ない鉱物の「共生」関係をテーマにした初めての本です。「共生」に注目すれば、どのようなことが明らかになるのか。地球内部の美しい記録でもある、鉱物たちの新たな魅力に出合える一冊です。

自然界において基本的に鉱物は「共生」する

　市場において見られる水晶やベリル、蛍石などさまざまな単独の美しい標本。しかし、自然界において鉱物は基本的に他の鉱物と「共生」しています。

　「共生」とは、ほとんど同時期に成長した2種類以上の鉱物同士の関係のことで、鉱物が生まれる産状では、一般的に複数の鉱物が共に成長した姿が見られます。こうした、ある鉱物と別の鉱物との組み合わせは、単独の鉱物だけではわからなかった産状の姿やその手がかりを私達に教えてくれるのです。
　本では、世界各地の83種の希少な宝石や鉱物の標本を7つの産状に分類して紹介。火性や堆積、変成作用などでできる鉱物とその組み合わせを知ることができます。

ベリルの変種、アクアマリンと曹長石の共生標本（上）。深成岩のペグマタイト中ではさまざまな美しい鉱物が育つ（下）。

複数の鉱物が集まった姿はより自然な美しさがある

　同じ産状で成長した鉱物たちの競演は、単独の標本よりダイナミックかつ自然な美しさをたたえています。異なる色や形の芸術的な組み合わせにうなるもよし、それらが生成した地中奥深くの様子を思い描くのもよし。美しい結晶ができるのは決してありふれたことではなく、まれなこと。時には何百万年、何千万年というスケールで旅してきた標本との出合いを本を通じてたのしみましょう。

黄鉄鉱、蛍石、方解石の共生標本。接触変成岩の産状において金属が集まったスカルン鉱床（接触交代鉱床）でできた。

共生する鉱物があれば、共生しない鉱物もある？

鉱物の共生関係は、すべての組み合わせで起こり得るわけではありません。共生しない鉱物というのもあります。それは、決して出合わない鉱物同士の組み合わせではなく、出合うことで化学反応が起きて別種の鉱物になる組み合わせです。出合った結果、共生しない鉱物たち、これも共生関係によって浮かび上がる面白さのひとつです。