枝ものは「おしゃれ」「長持ち」「手間が少ない」
生花、観葉植物、多肉植物──世の中にはさまざまなグリーンインテリアがありますが、枝ものだからこその良さがあります。その良さをあえて3つ挙げるなら、『おしゃれ』『長持ち』『手間が少ない』とのこと。
「野趣がある枝ものは一本飾るだけでも空間が締まり、スタイリッシュに演出できるのが魅力。また、枝ものは水が濁りにくく枝が多いため、生花に比べて水換えの頻度が少なくて済み、手間がかかりません。
それと、長持ちするので、例えば桜のように、蕾の状態から花が咲き、葉が出てくるまでの移ろいを長く楽しめるものも多いです。観葉植物よりは寿命は短いですが、その代わり手軽に季節ごとの枝ものを取り入れることで四季を感じられます」
「この時期(記事作成時点3月中旬)の枝ものの代表格が、先にも述べた「桜」。家の中で花見ができ、華やいだ気分にさせてくれます。
〝山吹色〟の由来でもある『ヤマブキ』もこの時期出回ります。小花がたくさん咲き、薄い緑の葉も春の訪れを感じられます。このほか、蕾が次々と咲きガクアジサイのような花を咲かす『ムシカリ』、春の終わりから初夏にかけて白や薄い紫の花が爽やかで香りも良い『ライラック』などもおすすめです」
小さな家、ワンルームでも映える「枝もの」
このような枝ものの魅力がきっしり詰まった、小野木彩香さんの著作『小さな家、ひと部屋からできる 枝もののある暮らし』がエクスナレッジから発売されています。
床の間だけでなく、リビングやダイニング、キッチン、サニタリー、玄関、階段、ワークスペースなど、場所を選ばずに生ける──。花瓶に入れるだけでなく、ありのまま置く・吊るす、一輪挿しにする、さらにはリースやスワッグ、ブーケなどアレンジして飾る──。
本書には、限られたスペースの小さな家やマンション、ワンルームといった現代型住居で、枝ものの野趣を存分に味わうためのアイデアやノウハウが詰まっています。
植物選びやお手入れに自信がないという方のために、お花屋さんで入手できる四季折々の枝もの図鑑や、水揚げ・剪定の仕方などもフォローしています。
「手前味噌ですが、美しく、眺めているだけで豊かな気持ちになれる本だと思います。本書を目にした台湾人の友人も『空間の使い方が日本らしくて美しい』と言ってくれました。それと、撮影は私の自宅とアトリエで行ったので、読者の方も「自分の家に枝ものをどう取り入れよう」というときの参考になると思います」
そんな小野木さんですが、昨年、東京都・三軒茶屋に新たな店舗をオープン。よりアクセスの良い立地で、何かのついでにふらっと立ち寄って花を買ってもらいたい、お花の話や知識、楽しみ方を伝えたいという思いから開店に至ったそう。店先のブランコと「飛び出し坊や」が目印の素敵なお店です。
「毎週お酒を飲んだ帰りに一輪の花を買ってくれる男性、毎日店を訪れておしゃべりするおじいさん、近所の豆腐屋に立ち寄りついでに必ずお菓子やホッカイロなど手土産を持ってきてくれるおばあさん──お花を通じていろいろな人と出会えるのが楽しくて仕方ありません」
お近くの方はぜひお店に立ち寄って、小野木さんに気軽に相談しながら、マニッシュな魅力に溢れた枝ものをお家に迎えてください。
●北中植物商店 三軒茶屋店
東京都世田谷区太子堂5-13-1
田園都市線 三軒茶屋駅徒歩7分/世田谷線 西太子堂駅徒歩5分
営業時間 11:00〜18:00/定休日 火・水
●写真:高橋郁子/三浦希衣子