【自由研究のネタ探し】生き物をお手本にしたスゴイ技術に注目してみよう

学生は夏休みの真っただ中ですが、連日、危険な暑さが続いています。そこで、涼しい部屋でじっくり取り組める自由研究のヒントをご紹介します。生き物の体や生態を新しい技術に応用する学問を「バイオミメティクス」といいますが、『地球を救うスーパーヒーロー生き物図鑑』では、さらに広い視点で「生き物の社会=生態系」を人間社会のお手本にする「エコミメティクス」の可能性を紹介しています。「生き物×最新技術」という視点で読み解くイラスト図鑑は、大人の好奇心も満たされること間違いなしです!

地球温暖化を防ぐカギは自然界の生き物に学べ!

連日、危険な暑さが続きますが、この暑さは人間による環境破壊に原因があるといわれています。持続可能な社会を実現するための目標「SDGs」という言葉は広く浸透してきましたが、そのお手本となるのは、はるか昔から自然と共生する“ヒト以外の生き物”です。『地球を救うスーパーヒーロー生き物図鑑』では、地球を救うヒントをくれる生き物たち=スーパーヒーローの体や生態を研究することで実現した、最新技術やまだ見ぬ未来の技術を紹介しています。

出典:地球を救うスーパーヒーロー生き物図鑑

エアコンなしでも涼しいシロアリの高層ビル

日本の夏をエアコンなしで乗り切ることは難しくなっていますが、日本よりもさらに過酷な熱帯・亜熱帯地域に生息するキノコシロアリは、エアコンがなくても温度や湿度が一定に保たれた快適な巣(蟻塚)を作ります。蟻塚の表面には無数の小さな穴が開いており、巣の中の空気が循環することで快適な温度を保っています。さらに驚くべきことに、巣の外側を包む土をキノコシロアリが加工し、断熱材として機能しているのです。ジンバブエやドバイにはこの蟻塚をお手本に作られたビルがあり、実際にエアコンの電力消費量を抑えられているそうです。

出典:地球を救うスーパーヒーロー生き物図鑑

タマムシの美しい色が橋やトンネルの安全を守る

生き物の体の秘密は、私たちの暮らしの安全を守る技術にも応用されています。その一例をご紹介します。見る角度によって翅が緑から赤や紫、金などに輝くタマムシは、森の宝石とも呼ばれています。この不思議な翅は構造色と呼ばれる現象で、何層にも重なった薄い膜に光が当たると、膜の厚さによってさまざまに色がついて見えるのです。人工的に構造色を作ることに成功すると、まずは車の塗料などに利用されましたが、研究者はゴムの上に構造色をのせ、引っ張ると色が変わる素材を作り出しました。この素材が活用されているのは、橋桁やトンネルなど、コンクリートの劣化をいち早く察知する必要のあるところです。コンクリートが割れたり変形したりすると、その部分の色が変わり、危険を知らせてくれるのです。構造色は色褪せることがないため、時間が経っても安心です。

出典:地球を救うスーパーヒーロー生き物図鑑

新しい技術を発明するのは、あなたかも!?

バイオミメティクスの分野では、生き物の驚くべき生態が解明されたものの、まだ具体的な技術には応用されていないものがたくさんあります。自由研究では、すでに身近な技術に応用されている生き物の生態を調べてみるだけでなく、「こんな技術に応用できそう」という独自の仮説を立ててみるのも、面白いかもしれません。例えば、ばい菌とされるバクテリアが身を守るために作り出す極薄の膜(バイオフィルム)は、なんと真空状態になってもバクテリアを守ってくれるのです。この技術を人間の服に応用すれば、薄い膜のような宇宙服で真空の宇宙を遊泳できる日がくるかもしれません。

出典:地球を救うスーパーヒーロー生き物図鑑

 

『地球を救うスーパーヒーロー生き物図鑑』

定価 1600円+税
著者 下村政嗣、谷口守、針山孝彦、平坂雅男、穂積篤
判型 A5判
頁数 160頁
発行 2022/10
ISBN 9784767830575