リビング

【縦庭の家】庭と視線コントロールの妙技

旗竿敷地に建つ、延べ面積89.77㎡の小さな2階建て住宅です。外の緑の風景を室内に取り込むことが設計主旨の重要な1つでしたが、敷地に広い庭を設ける余裕はありませんでした。そこで考えられたのが、小さな庭を2層にした“縦庭”です。自然素材を使った室内から見える縦庭やその他の庭の植栽が織りなす奥行きは、心を落ち着かせてくれます。設計者の津留氏が語る“住む時間とともに、豊かに育つ家”を探訪してみましょう。

仕上げ 流行に流されない普遍的な空間の設え

バルコニー

縦庭に面した2階バルコニー。目隠し壁により周囲の視線を遮り、開放的かつ落ち着いた居場所をつくる

玄関ホール

玄関ホール。印象的な青いボーダータイルに迎え入れられる

リビング

2階リビング。隅のスリット窓により抜け感を、水平を強調した腰壁・造作書棚・窓際ベンチにより広がり感を生む。造作書棚の奥にある小さな吹抜けは1階キッチンとつながり、階を越えた会話を生む

ヌック

ヌックの床は150㎜上げて段差をつけ、仕上げも変えて、籠れる居場所とした

 

NOTE 「縦庭の家」で採用された製品 

外部

屋根(ガルバリウム鋼板)縦平葺き

外壁(軽量モルタル塗り) ユニプラル HY+/ゲーテハウス

アプローチ床(せっ器質タイル)  パティーノ(PTI-2360/4 ボーダー) /LIXIL

バルコニー床(セランガンバツの上、木材保護塗料) キシラデコール/大阪ガスケミカル

断熱(屋根・吹込み用セルロースファイバー断熱材) デコスファイバー/デコス

断熱(壁・吹込み用セルロースファイバー断熱材) デコスファイバー/デコス

断熱(基礎・A種押出法ポリスチレンフォーム保温板3種bAⅡ) スタイロフォームRB・GK-Ⅱ/デュポン・スタイロ

構造材(柱・ヒノキ) 匠 乾太郎/院庄林業

構造材(梁・ベイマツ)

 

内部

床(無垢ナラフローリングの上、木材保護塗料) オスモカラー(フロアークリアーエクスプレス)/オスモ&エーデル

壁(漆喰厚塗り・トラバーチン調仕上げ)

壁(キッチン・ボーダータイル) インテリアモザイク 窯変ボーダー(IM-1015P1/YB1H、縦張り)/LIXIL

壁(ヌック・しらす壁仕上げ塗り材) 薩摩中霧島壁(SN-1、ソフトヘアライン仕上げ)/高千穂シラス

 

取材協力:津留邦光[つる・くにひこ]

津留邦光

1980年滋賀県生まれ。一級建築士、一級建築基準適合判定資格者。2005年工学院大学工学部卒業。’05~09年設計事務所、’11~’24年指定確認検査機関、’24年アトリエ シレンシオとして活動

 

設計=津留邦光

構造設計=倉内木造設計 倉内菜々

外構=ミドリノトリ 仲村剛

施工=木のすまい工房

写真=津留邦光

取材・文=後藤利英子 

 

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