
「耐震性を高めるとデザインが不自由になる」という誤解
2025年の法改正(4号特例の見直し)を経て、木造住宅の構造に対する関心はかつてないほど高まっています。
日本の面積は世界のわずか0.15%ですが、マグニチュード6以上の地震の約20%がこの国で起きています。建築基準法の基準はあくまで「最低の基準」であり、建て主の命と財産を守るためには耐震等級2、3といったより高い性能が求められます。
「耐震性を高めるとデザインが不自由になる」という誤解がありますが、実は逆です。許容応力度計算によって「何が安全で何が危険か」のボーダーラインが鮮明になれば、むしろ独自の形状や大開口にも挑戦しやすくなるのです。

内部の壁・柱を減らす「登り梁形式」のススメ
「開放的なリビングをつくりたいのに、構造計算をすると部屋の真ん中に柱が出てしまう」といった経験はないでしょうか。 この解決策のひとつが「登り梁形式」の採用です。
一般的な和小屋形式では火打金物で屋根を固めますが、登り梁に厚物合板を直接打ち付ける形式にすると、屋根の「水平構面」の強度が格段に向上します。
和小屋形式(火打): 最大のせん断耐力は限定的。
登り梁形式: 厚物合板を四方打ちにすることで、せん断耐力は大幅にアップ(仕様により7.4倍にもなる)。
屋根面が強固になれば、最上階の内部耐力壁や柱を大幅に減らすことが可能になります。これにより、構造が整理されるだけでなく、結果的に基礎形状もシンプルになり、コストダウンにもつながります。

構造が良くなると「気密性能」も上がる?
意外な副産物として、構造を整えることは「気密性能」の向上にも直結します。
多くの現場で気密漏れの原因となるのは、天井と壁が交差する複雑な部位での気密フィルムの途切れです。最上階の柱や耐力壁を減らすことで、気密フィルムを途切れさせることなく連続して施工できる「天井勝ち」の納まりが容易になります。
実際に、佐藤氏がサポートした物件では、構造を整理することでC値(相当隙間面積)の平均が0.15という極めて高い数値を記録しています。
今回のまとめ
構造計算はデザインの味方: 安全性の境界を知ることで、攻めた設計が可能になる。
登り梁の活用: 屋根を固めることで、内部の邪魔な柱や壁を抜くことができる。
構造と性能は一体: 整理された構造は、高気密・高断熱化の施工性も高める。
構造を「後から計算するもの」ではなく「プランと同時にデザインするもの」と捉え直す。それが、これからの木造住宅に求められるスタンダードと言えるでしょう。

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佐藤高志(サトウ工務店) 著
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