斜線規制により屋根が斜めに切り取られることなく、きれいな箱形の住宅を希望していました。見つけた土地は、前面道路が北西側で幅が約6.5m、南側隣家は北側に庭があったので、当該敷地は比較的日当たりがよく、明るい住宅が現実的にイメージできたと言います。ただし、前面道路側に小学校が位置し、児童をはじめ人の行き来が多くあったため、自然の光があふれる住環境を設計すると同時に、プライバシーの確保も求められました。
敷地のポテンシャルを最大限に引き出すように、「ha」は8つの光庭を散在させ、室内に必要な光量を導いています。また、木造でありながらRC造のような意匠とするため、RC造の壁は厚く、木造のほうが薄い――逆に考えると、木造でも壁を厚くすればRC造のように見える、という点に着目し、要所で“W壁”を設けました。
“W壁”とは、一般的な木造の壁厚を倍くらいにしたものです。その“W壁”に開口を設け、枠廻りに奥行きを出すことで、木造感を消すことに成功。サッシはすべてスチールの折り曲げとし、また、袖壁・垂壁を排除することで、線の少ない繊細なディテールを実現しました。ファサードは、シンプルかつ大胆なデザインとし、建築の個性を演出しています。
間取り 箱形の外観とともに内部もスクエアに整える

外観とインテリアのイメージを合わせるため、箱形の外観に対し、間取りは基本的に大小の整形で構成した。また、建築主の希望の1つである、生活感が気薄なミニマルなデザインを実現するため、玄関から建物奥まで続く大容量のカウンター収納を完備。圧巻であり、LDKに生活感を出さないための重要なファクターとなっている
構造 木造でありながらRC造のような意匠

「木造を木造っぽく見せる要素には、壁厚のほか、基礎や土台水切、笠木などがありますが、特にRC造と異なるのは、サッシの取り付け位置だと思います」と保坂氏は言う。木造の場合、半外付け納まりが基本だが、ここではスチール折り曲げのサッシを外壁とほぼ面一に納め、ガラスは壁の内側に位置するようにした
NOTE 「8つの光庭のある家」で採用された製品
外部
構造材 ポラテック
外装材(アクリルシリコーン樹脂系左官材) マジックコートフレックスSP/フッコー
断熱材(屋根および外壁・硬質ウレタンフォーム吹付け)
断熱材(床・高性能グラスウール24K) アクリアUボードピンレス/旭ファイバーグラス
断熱材(基礎・フェノールフォーム断熱材) フェノバボード/フクビ化学工業
サッシ(スチール・特注) 二見建総
玄関ドア(スチール・特注) 二見建総
内部
1階床(タイル) アーバングレー/アイオーシー
2階床(フローリング) アッシュ20グレイッシュオイル/アイオーシー
壁・天井(石膏ボードの上、EP)
浴室床・壁(弾性FRP防水2プライの上、トップコート)
取材協力:保坂裕信[ほさか・ひろのぶ]

1976年東京都生まれ。2001年東京電機大学工学研究科建築学専攻修士課程修了。設計事務所での活動を経て、’23年「ha」設立。メディアグループ分譲住宅設計競技「北沢計画」最優秀賞。GOOD DESIGN AWARD 2018/2024。その他受賞多数
設計=「ha」hosaka hironobu architect associate
構造設計=yAt構造設計事務所
施工=ビルシステム
写真=アダボス
取材・文=後藤利英子
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