天空光

【8つの光庭のある家】洗練された白壁に映える光と影―「ha」―

建築主はデザインへの興味が深く、外観は箱型で内部プライバシーが守られる住宅、線の少ない繊細なディテール、生活感が気薄なミニマルなデザインを希望していました。「8つの光庭のある家」は、さまざまな個性を有した“8つの光庭”を慎重に配置することで、各部屋の距離を適度に確保すると同時に、各光庭のピクチャーウィンドウや天窓から明るさを内部に導き、光と影による住空間デザインを整えました。

LDK

構造の水平・垂直を美しく見せ、究極に洗練されたモダンな空間(LDK)。さまざまな開口から光が降りそそぐ

 

斜線規制により屋根が斜めに切り取られることなく、きれいな箱形の住宅を希望していました。見つけた土地は、前面道路が北西側で幅が約6.5m、南側隣家は北側に庭があったので、当該敷地は比較的日当たりがよく、明るい住宅が現実的にイメージできたと言います。ただし、前面道路側に小学校が位置し、児童をはじめ人の行き来が多くあったため、自然の光があふれる住環境を設計すると同時に、プライバシーの確保も求められました。

 

光庭

高い壁に囲まれた光庭①。真上からの光は住まい手だけのプライベートな光

外部吹抜け

駐車場とその上部の光庭③。吹抜けの壁が“W壁”

 

敷地のポテンシャルを最大限に引き出すように、「ha」は8つの光庭を散在させ、室内に必要な光量を導いています。また、木造でありながらRC造のような意匠とするため、RC造の壁は厚く、木造のほうが薄い――逆に考えると、木造でも壁を厚くすればRC造のように見える、という点に着目し、要所で“W壁”を設けました。

“W壁”とは、一般的な木造の壁厚を倍くらいにしたものです。その“W壁”に開口を設け、枠廻りに奥行きを出すことで、木造感を消すことに成功。サッシはすべてスチールの折り曲げとし、また、袖壁・垂壁を排除することで、線の少ない繊細なディテールを実現しました。ファサードは、シンプルかつ大胆なデザインとし、建築の個性を演出しています。

 

外観

ライトアップされた建物外観。シンプルな箱型の形状とグレイッシュな表情は、木造であることを想像させない

 

間取り 箱形の外観とともに内部もスクエアに整える

間取り

外観とインテリアのイメージを合わせるため、箱形の外観に対し、間取りは基本的に大小の整形で構成した。また、建築主の希望の1つである、生活感が気薄なミニマルなデザインを実現するため、玄関から建物奥まで続く大容量のカウンター収納を完備。圧巻であり、LDKに生活感を出さないための重要なファクターとなっている

光庭

光庭⑦と⑧がズレながら重なる様相がこの住宅のピークポイント。住宅のほぼ中央付近に光を採り込み、白壁に反射して住宅の中の至る所に光が行き渡るように計画した

吹抜け 水平・垂直

1階LDKの床は、コンクリートのような質感のタイルを選定。光庭①のコンクリート平板床仕上げの色と近く、連続感で広く感じる効果もある

 

構造 木造でありながらRC造のような意匠

 

構造 木+鉄骨

2層吹抜けと3層吹抜けがズレながら重なっているダイナミックな空間構成を現実にするため、在来軸組構法を基本としながら必要箇所に鉄骨梁を使用し、成立させた

外壁 窓

「木造を木造っぽく見せる要素には、壁厚のほか、基礎や土台水切、笠木などがありますが、特にRC造と異なるのは、サッシの取り付け位置だと思います」と保坂氏は言う。木造の場合、半外付け納まりが基本だが、ここではスチール折り曲げのサッシを外壁とほぼ面一に納め、ガラスは壁の内側に位置するようにした

 

NOTE 「8つの光庭のある家」で採用された製品

外部

構造材 ポラテック

外装材(アクリルシリコーン樹脂系左官材) マジックコートフレックスSP/フッコー

断熱材(屋根および外壁・硬質ウレタンフォーム吹付け)

断熱材(床・高性能グラスウール24K) アクリアUボードピンレス/旭ファイバーグラス

断熱材(基礎・フェノールフォーム断熱材) フェノバボード/フクビ化学工業

サッシ(スチール・特注) 二見建総 

             フジメタル

玄関ドア(スチール・特注) 二見建総 

              フジメタル

内部

 1階床(タイル) アーバングレー/アイオーシー

2階床(フローリング) アッシュ20グレイッシュオイル/アイオーシー

 壁・天井(石膏ボードの上、EP)

 浴室床・壁(弾性FRP防水2プライの上、トップコート)

 

取材協力:保坂裕信[ほさか・ひろのぶ]

保坂裕信

1976年東京都生まれ。2001年東京電機大学工学研究科建築学専攻修士課程修了。設計事務所での活動を経て、’23年「ha」設立。メディアグループ分譲住宅設計競技「北沢計画」最優秀賞。GOOD DESIGN AWARD 2018/2024。その他受賞多数

 

設計=「ha」hosaka hironobu architect associate

構造設計=yAt構造設計事務所

施工=ビルシステム

 写真=アダボス

取材・文=後藤利英子 

 

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