大人気連載(?)「建築知識の日常」番外編!今回は編集部が気になる企画展に突撃取材してきました!
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先日、「リカちゃんのON/OFF展」という展覧会に行ってきた。
正直に言おう。最初は「かわいい着せ替え人形の展示なんでしょ」くらいに思っていた。でも行って30秒で、完全に認識を改めた。
ジオラマの精度が、おかしいのだ。
ジオラマの一部。小物の配置までリアリティ極まる。
とにかくヤバいジオラマの話を聞いてほしい
会場の中心に、全30シーンのジオラマが並んでいる。テーマはONとOFF、職業編、プライベート編、恋愛編。職業編ではそれぞれの職業ごとの仕事中のONのシーンと帰宅中や自宅のOFFのシーンが対になって展示されている。
で、これがとにかく細かい。尋常でなく精度が高い。
カメラや香水瓶、スーパーの値引きシールが貼られたお惣菜、汚れたお皿、割るのに失敗した割り箸、使い終わったティーバッグ……小道具の大半は玩具メーカー「リーメント」の製品で、このメーカーが展開する小物がまたとんでもない精度なのだが、それはさておき。
一番驚いたのは、陶芸教室セットの壁だ。
企画チームの多くは建築出身者で構成されていて(!)、ジオラマの設計から施工会社への発注まで自分たちで担っているそう。「左官風にしたい」と指定したら最初はクロス仕上げで上がってきて、差し戻したという。壁1枚に建築的なこだわりがある。
陶芸教室セットの壁面クローズアップ。
ほかの部屋の仕上げも、内装資材メーカーの壁紙をそのまま使用。どうりで見たことあると思った。
アスファルト上の水たまりはレジンで表現。芸が細かい・・・。
スケールの話もしておくと、リカちゃんは一般に「1/6スケール」なのだが、ミニチュア小物の世界標準は1/12。つまり微妙に合わない。「建築出身なのでスケールはすごく気になりました」と担当者。対策として、リカちゃんが直接触れる家具などは3Dプリンターで一から制作し、全体として違和感が出ないよう調整したという。そのスケールへのこだわり方も、なんか実務っぽくてよかった。
世界観が「つながって」いて、ちゃんと読み物になっている
各ジオラマは独立したシーンに見えて、実は物語がリンクしている。
たとえば、アナウンサーのリカちゃんが生放送中に読んでいるニュース原稿。そのニュースモニターに映し出されているラインナップがこうだ。「ラブドリ レン 熱愛発覚」「愛李麺 新店舗で行列」「milky blue 新作発表会」。……全部、ほかのジオラマで起きている出来事だ。見逃した伏線はないかと、気づいたら2巡、3巡してしまう。パラレルワールドがつながっているとか、ノーラン監督の映画か?
ちなみにアナウンサーリカちゃんの手元のニュース原稿、本展の製作委員会に入っている関西テレビの谷元アナウンサーが実際に赤入れをした原稿らしい。さらにスタッフが出しているカンペも「生放送中にこれが出たら焦る」内容になっているとのこと。
ニュースラインナップ。このほかにも伏線いろいろ。ぜひ現地で回収をお楽しみください。
赤入れされた原稿。飲み物もストローinでアナウンサー仕様。
推し・レンくんの熱愛ニュースを見て呆然とするリカちゃん。表情はすべて一緒のはずなのに、セットとポーズでこれだけ感情が伝わるのがスゴい。
推し活セットのスマホ画面にはしっかりレンくんとの2ショットが収められている。芸が細かい(本稿2回目)
恋愛編5連作もちょっとしたドラマ仕立て
恋愛編は、ひとつの短編ドラマみたいになっている。
大学入学 → テニスサークルで気になる先輩に出会う → 友達と恋バナ → デートへこぎつける →アクセサリーを選んでもらう……と、関係の深まりが表現されている。
「はると先輩の部屋にいるリカちゃん」というセットもあり、この表現は企画展ならでは。彼の家に遊びに行くこともあるだろう……。
桜咲くころ2人の出会い。見ているこちらまでソワソワする。先輩、ち、近いです・・・
恋愛リアリティーショーを友達と鑑賞するリカちゃん。はると先輩の前とは違って強気な発言も(かわいいね)。
リカちゃんの可愛い理由を「ガチ分析」するコーナーがある
ジオラマ以外のコンテンツも紹介しておきたい。
会場の一角に、リカちゃんの可愛さをガチで分析するゾーンも。「タカラトミーがこういう理論で作りました」という話ではなく、骨格矯正・美容整体の専門家や顔タイプ診断の専門家が独自に分析しているというのがポイント。
骨格の専門家による解説。「可愛い」の理由はいくつになっても知りたいものです。
現在(4代目)の顔が完成したのは1987年で、もう約40年同じ顔なのだが、その造形が令和のトレンドメイク(いわゆる「バブみ」)と相性がいい理由なども分析されている。
リカちゃんの顔のバランスを微妙に崩したビフォーアフター画像(フォトショップで加工)。「やっぱりいつものリカちゃんが可愛い」という着地。
初心者でも「リカ活」の世界に飛び込める仕掛けが
リカちゃんの小物を散らしたデザインの壁や、隠れリカちゃんが点在するフォトスポットなど、SNS映えを意識した動線も整備されている。
入場直後に現れるリカちゃんフェイス(直径1m)のフォトスポット。担当者は「これだけ拡大しても可愛いのです」となぜか自慢気。
会場の一角には「ジオラマ撮影ブース」もあって、上から撮ると影が映り込む問題を解決するためのボックスまで用意されている。
撮影ブース全体のカット。照明ボックスのなかにリカちゃんを置く。リカちゃん以外(手持ちのぬいぐるみなど)でも自由に撮影可。
リアルなリカちゃんin夜景ショットが撮影できる特設スポットも。
物販コーナーには展覧会オリジナルグッズ約100種類が並ぶ。展覧会オリジナルのリカちゃん(仕事ウェアのドールにパーカーの部屋着が付属)がセットになったチケットもあり、グッズ目当てで来る層もいそうだ。
結局、なんの展示だったのか
長くなったが、この展覧会を一言で説明するのが難しい。リカちゃんの展示であることは間違いないのだが、建築出身のチームが作った異様な精度のジオラマの展示でもあり、リカちゃんの顔をガチ分析したパネル展でもあり、私たちの日常・人生の展示でもあった。
本展のコンセプト「着せ替えよう、気分まで」。ONもOFFも、どちらの自分も大切に―――というメッセージを、リカちゃんを通して伝えようとしている。シンプルな言葉が、展覧会を見終わったあとに妙に刺さった。
コンセプトメッセージ。毎日ボロ雑巾生活の心に沁みる。服、買いに行こう。好きなコーヒー飲もう。
「タカラトミー主催ではなく、ファンによるファンのための展覧会」という立て付けなので、公式ではできない表現も攻めている。洗練された感度の高いパッケージのなかに、並々ならぬ熱量を感じる。「好き」のその先にあるクリエイティビティは、リカちゃんファンだけでなく、きっとモノづくりが好きな人全員の心に刺さるに違いない。
東京展は今月3月31日まで。行けるなら行ったほうがいいと思う。
リカちゃんのON /OFF展 開催情報
会期:2026年3月4日(水)〜31日(火)11:00〜20:00 ※最終日17:00まで
会場:LUMINE 0 NEWoMan新宿店 5F(JR新宿駅新南エリア直結)
料金:一般 平日2,000円/土日祝2,200円、小中学生 平日1,500円/土日祝1,700円 ※未就学児無料
チケット:アソビュー!にて販売
※来場者全員にステッカープレゼント
▼ 展覧会情報は公式SNS・公式サイトをご確認ください。





























