すごい建築のすごい工夫!その① 「東京カテドラル聖マリア大聖堂」は曲面の壁をつかって天窓を十字架形にしている!
HPシェルでつくられた「東京カテドラル聖マリア大聖堂」(東京都文京区)。建築家・丹下健三の設計で1964年に建てられました。
この建物はカテドラル(キリスト教で司教座のある聖堂のことを指す)という用途を意識して、8枚のHPシェルを上空から見て隙間が十字形になるように組み合わせています。
壁が屋根を兼ねており、建物内にいると教会建築に大切な上昇感が感じられます。
すごい建築のすごい工夫!その② 「東京ドーム」は総重量400トンの膜を空気圧で膨らませている!
日本におけるドーム球場の先駆けとなった「東京ドーム」(東京都文京区)。
内部の気圧を外部の気圧よりも高めることで、膜の屋根を支える「空気膜構造」のドームです。
二重膜構造として内外の気圧差を最小限に抑えており、外側の膜は、ガラス繊維を編んだクロスにフッ素樹脂をコーティングしたものを使用しています。
合計225枚の膜が現場でつなぎ合わされ、その総重量はなんと約400トン!
外部との気圧差があるため、ドアを普通に設けると、外に出るとき気圧で押し出されるようになって危ないので、出入口は回転ドアで構成されています。
すごい建築のすごい工夫!その③ 復原された「東京駅」の屋根は建設当時のものを洗浄して使っている!
1914年に竣工した「東京駅丸の内駅舎」(東京都千代田区)。
2012年に「復原」工事が完了しました。「復原」とは、改修がなされてきた建物をオリジナルの状態に戻すこと。
建築当時、屋根葺き材には宮城県石巻市産の雄勝石(おがついし)を用いた天然スレートが採用されていました。天然スレートは天然石を加工してつくられるので、使用する石によって独特の風合いがあります。
そのため復原工事の際には、駅舎から屋根葺き材をすべて外して石巻市の修理業者へ搬送しました。約20万枚のうち使用可能な約13万枚を洗浄して順次東京駅へ納品、汚れた面を裏返すなどして再使用しています。
なお、屋根葺き材を保管していた倉庫は、東日本大震災による津波で被災し、納品予定だった約6万5,000枚が流出するアクシデントに見舞われました。
必死の捜索の結果、約4万5,000枚を回収。塩害に強い材料だったので、洗浄して使用することができました。
多種多様な用途・規模の建築構法を総ざらいできる特集です!
建築知識2022年10月号では、このように躯体や内装・外装などの代表的な構法から、画期的な構法が用いられた現代建築まで、イラストで徹底図解しています。
木造、S造、RC造、SRC造、組積造など、建築の躯体の構造や構法はさまざま。さらに、構法は技術の発展とともに進化しています。
この特集を使って、戸建住宅やマンション、オフィス、ホテルなど、多種多様な用途・規模の建築構法を総ざらいしてみてはいかがでしょうか?
建築知識22/10 建築の構成手法、構法を総ざらい 建物「組み立て」図鑑
定価 1,800円+税
ページ数 150
判型 B5判
発行年月 2022/09
ISBN 4910034291021