【建築知識・試し読み】建物と街並みから、暮らし、文化、服飾まで、中世ヨーロッパ完全網羅の永久保存版!

建築知識2024年4月号の特集は「中世ヨーロッパの建物と街並み詳説絵巻」です。西欧はもちろん、東欧やビザンツ、イベリア半島、そして中東まで!約20都市の建物や街並みを、詳細なイラストで徹底解説するこの1冊。城塞や宮殿、市場にモスク、そして市民や貴族の住宅など……私たちを惹きつけてやまない中世ヨーロッパの世界から、魅力的な建物と街並みをちょっとだけご紹介します!

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搭のある市壁とゴシック建築が連なる「シエナ」

イタリア・トスカーナ州中部から南部に位置するシエナは、中世後期に丘状都市として栄えました。街の中心は、かの有名なカンポ広場と、それに面して建つ市庁舎「パラッツォ・プッブリコ」。9つの扇状のセグメントが組み合わさって、市庁舎に向かって緩やかに傾斜しているカンポ広場は、13世紀初頭、都市の中心として重要な役割を担いました。この広場と広場に続く通り沿いに貴族の住むゴシック様式の邸宅が建ち並び、シエナ固有の街並みを形成しました

イラスト:トリスヨシコ

上のイラストで搭状に描かれている建物のうち、市庁舎以外はすべて搭状住宅です。1112世紀、貴族は都市部の搭状住宅に住んでいました。搭状住宅は複数寄り集まり、家柄ごとに住宅建築の複合体を形成していたといわれています。建物は「カヴェルノーゾ」と呼ばれる石材(石灰岩)の切石積みが多く、バッラトーイオという2回以上に設けられた木造の張り出しを通して、ほかの階や搭状住宅どうしを連絡していたと考えられています

❝世界の半分❞とうたわれた シルクロードのオアシス都市「イスファハン」

11世紀半ばごろから数十年にわたり、トルコ系イスラム王朝であるセルジューク朝(※1)の首都として発展を遂げたイスファハン。その後も旧市街を中心に、交通の要衝として、経済的・文化的に一大都市としての地位を維持し、1597年には、サファヴィー朝(※2)の王アッバース1世(※3)がタブリーズから遷都したことにより、再び隆盛期を迎えました。

1 中央アジア起源のトルコ系イスラム王朝
2 神秘主義教団サファヴィーの指導者イスマーイール1世が現在のイランに建国した国家で、1618世紀前半にかけて約200年の間イラン全域を支配した
3 サファヴィー朝5代目のシャー。オスマン帝国との高層で一時危機に陥ったサファヴィー朝を再興した

イラスト:Miltata

レンガ造りのドームが連なるバザール(市場)はイスラム都市の骨格をなる商業空間です。イスファハンでは、8世紀に創建された金曜モスクと旧広場とともに、バザールが形成され、世界中の品物が集まりました。経済的のみならず、社会的、文化的な活動拠点として成長し、旧広場と、アッバース1世が築いた新市街の中核・イマーム広場を結ぶ大動脈に発展しました。

イラスト:Rikako Ikegami

光で溢れ天に伸びる聖堂「ゴシック建築」

1140年ごろ~16世紀にかけて、西欧諸国では都市の人口が増加し、聖堂にも多くの人が集まるようになりました。「神は光である」というキリスト教の考えの下、民衆の感覚に訴えかけるような、光で溢れるゴシック様式の建築が隆盛しました。推力(※4)を軽減する尖頭アーチや高い天井、そして、フライングバッドレスと交差リブ・ヴォールトが可能にした大きな窓が特徴です。

※4 アーチが横に広がろうとする力

 

イラスト:大島弓枝

建物や街並みから、暮らし、文化、そして服飾まで! 中世ヨーロッパを完全網羅!

ゲームや小説など、さまざまな創作の舞台となる中世ヨーロッパ。建築知識2024年4月号では、中世ヨーロッパの各地域の建物や街並みを詳細なイラストで詳しく解説しています。巻頭には、勢力関係や国の変遷が追える地図と年表もあるので、歴史の流れについても分かりやすい!中世ヨーロッパの魅力に取りつかれたあなたへ、街の発展の経過や、人々の暮らし文化、歴史、そして服飾まで、完全網羅の永久保存版です…!

24/04 中世ヨーロッパの建物と街並み詳説絵巻

定価   1,800円+税
ページ数    134
判型        B5判
発行年月   2024/03
ISBN  4910034290444