ルイ14 世も嫉妬した美しき城、ヴォー・ル・ヴィンコント城
1682年にルイ14世の宮廷となり、フランス王室の本拠地となったヴェルサイユ宮殿。そのモデルとなったといわれるのが、パリ近郊にあるヴォー・ル・ヴィンコント城です。
建築主の大蔵卿ニコラ・フーケがルイ14世を招いてパーティーを催したところ、その豪奢さに王は嫉妬。パーティーから19日後にフーケは逮捕されて失脚、生涯を檻のなかで終えることとなります。その後、城の建築に携わった才能ある芸術家たちは国王に招喚され、ヴェルサイユ宮殿造営を命じられました。フーケの悲劇なしには、ヴェルサイユ宮殿は誕生しなかったのです。
絶対的な権力を示す装飾美「国王の寝室」
ヴェルサイユ宮殿造営に伴い、独自のインテリア様式(ルイ14世様式)が確立します。細部にまで豪華絢爛な装飾があしらわれ、王の威厳を示す装置として機能しました。
国王の寝室は、東向きで、2階平面中央に位置します。これは「太陽王」と呼ばれたルイ14世が、自らの象徴(日の出)に面するよう配置を決めたのでした。
当時の寝室は、私的空間だけではなく、起床・就寝時に個人謁見を行う公的空間でもありました。優雅な内装とは裏腹に、宮殿での生活や行事は国王が定めた厳格な宮廷作法に従う必要があり、服装、挨拶、参列順(序列)などが管理されていたのです。
謁見に出席できる者は、廷臣などの貴族のほか、王族、医師など特権階級の男性のみ。なかでも起床の儀(毎朝8時30分開始)に参列できるのはごく限られた人物で、貴族たちはその席を獲得するべく争ったのだとか。謁見が終わると、控えの間を通り、庭園に面した鏡の間で宮廷人たちの挨拶を受け、礼拝堂に赴くのが国王の日課であったといいます。
ちなみに、謁見などを行う公式の場では、国王や王妃から座る特権を与えられた人(貴族)のみでした。謁見用の椅子も決められています。それは、古代ギリシャ・ローマ時代からある儀礼的スツールに倣ったX形脚のスツール「プリアン」です。座具は通常、部屋の壁際に置かれ、必要に応じて動かして使用したと考えられています。
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発行年月 2024/08
ISBN 4910034290239