4号特例の縮小で何が変わる?令和7年建築基準法改正

【建築知識11月号試し読み】4号特例の縮小で何が変わる? 令和7年建築基準法改正

令和7年4月に全面施行される改正建築基準法・改正建築物省エネ法。本記事では、まず押さえたい重要改正項目「4号特例の縮小」を解説します。「4号特例」とは、小規模な木造戸建などの4号建築物であれば、建築確認の際に一部審査を省略できる特例。この特例対象が来年度から縮小されます。

令和7年改正分の目玉・4号特例の縮小

令和7年4月より改正建築基準法が施行されます。なかでも重要な項目が「4号特例の縮小」。

でも、「そもそも『4号特例』って何だっけ?」「どうして改正されるんだろう?」と宇宙猫状態になっている方も多いのではないでしょうか。

4号特例の縮小が理解を超えており、宇宙猫顔になるネコ

space cat…… イラスト:ぱんだにあ

この記事では、建築知識11月号特集「大改正 建築基準法・建築物省エネ法」の内容をチラ見せ!新人設計者の「後輩ネコ」と一緒に、「4号特例の縮小」を学びましょう。

後輩ネコ

元気いっぱいで、かつ、お調子者の新人設計者。やるときはやるタイプ

 

所長ネコ

法規に超々詳しい建築事務所の所長。1日2回キャットタワー休憩に行く

 

 

「4号特例」とは、建築確認時に4号建築物の構造・設備の一部審査を省略できる特例

建築物を建てる前には、安全性を確保するためにさまざまな審査が必要です。この審査を建築確認といいます。

「4号特例」とは、4号建築物(現行法6条1項4号に該当する建築物)であれば建築確認の際に一部審査を省略できる制度です。延べ面積500㎡以下の木造2 階建てや木造平屋などが該当します(特殊建築物で延べ面積200㎡超のものを除く)。

「4号特例」は、木造戸建(4号建築物)の構造や設備の一部審査を省略できる特例のこと

イラスト:ぱんだにあ

現行法では、都市計画区域などの区域内で建築確認の対象となる場合でも、建築士が設計を行えば、建築確認の際に構造関係規定などの審査を省略できます(令10条)。また、それらの建築物を建築士である工事監理者が設計図書どおりに施工されたことを確認した場合には、同規定の検査を省略することができます。

令和7年以降、この「4号特例」が縮小されます。

4号特例の縮小の背景として、来年から4号建築物も「省エネ基準適合義務」の対象になることが挙げられるよ

 

 

「4号特例の縮小」と「省エネ基準適合義務」にどんな関係があるニャ?

 

 

令和7年4月以降に着工するすべての建築物には、省エネ基準への適合義務が生じるよ。これにより、これまで構造関係規定の審査を免除されていた小規模な建築物でも、省エネ性能向上(断熱材や太陽光パネルの設置など)によって重量増加が見込まれる

 

……ってことは、4号建築物でもこの重量増加に見合った強度があるか確認する必要が生じるんだニャ!

 

令和7年4月以降、特例を受ける対象は新3号建築物のみとなる

令和7年改正の4号特例の縮小により、4号建築物は新2号建築物と新3号建築物の2種類に区分される

イラスト:ぱんだにあ

改正後、延べ面積500㎡以下の木造2階建てや、延べ面積200㎡超の木造平屋などは、法6条1項2号に該当する建築物(新2号建築物)となります。

現行の4号建築物のうち、新2号建築物は特例の対象外に。建築の際、すべての地域で建築確認・検査が必要になります。建築確認の際には、構造関係規定に関する図書と省エネ関連図書の提出が必須になります。

都市計画区域などの区域内の延べ面積200㎡以下の平屋は、改正により法6条1項3号に該当する建築物(新3号建築物)となります。これまでの4号特例を引き継ぎ、建築確認の際に、構造関係規定に関する図書と省エネ適判関連図書の一部省略が可能です。建築物省エネ法に基づく省エネ適判も省略されます。

なるほど!!!……つまりどういうことニャ?

 

 

令和7年4月以降、現行法の4号建築物は新2・3号建築物のいずれかに区分される。いわゆる「4号特例」を引き継ぐのは新3 号建築物のみだよ

 

建築知識11月号は「大改正 建築基準法・建築物省エネ法」特集!

令和7年度法改正内容を遵守した家を建てるネコ

イラスト:ぱんだにあ

建築知識11月号では「4号特例の縮小」をはじめ、令和7年施行分の改正建築基準法・改正建築物省エネ法を中心に、最近の法改正のポイントを詳しく解説します。リアルなイラストや豊富な図表を用いて、「この改正でどんな規制や緩和を受けるの?」という疑問を解決。建築士法やバリアフリー法などの関連法規の改正や、建築基準法の基礎もおさらいできます。

さらに、令和7年度施行分の目玉となる「省エネ基準適合義務化」・「4号特例の縮小」については、大人気イラストレーター・ぱんだにあ氏作画の解説マンガを掲載。重要な改正事項をサクッと学べます。

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建築知識2024年11月号表紙

執筆者:ビューローベリタスジャパン建築認証事業本部、末信文行、東京都


建築知識24/11 大改正 建築基準法・建築物省エネ法
142ページ
B5判
1,800円+税