【完全保存版】リノベーション事業者が絶対に知っておくべき基礎知識91項目

リノベーションに関わる人は、窓口営業、設計担当、不動産担当、施工管理者、インテリアコーディネーター、金融担当など多岐にわたります。基本は分業だが、不動産売買、金融、設計、施工、税制を一貫して見通せる能力を持った人がいなければ、業務の連携がうまくいかず、クレームや瑕疵につながる可能性も……。業務に携わる人が多いリノベーションだからこそ、すべてのプロが知っておくべき基礎知識をまとめました。

1つでも”知らない”があればクレームに!

中古住宅の流通件数や、リフォーム・リノベーション件数は毎年伸びています。一方で、トラブルの相談件数は2013年から16年までに約1.4倍に増加し、そのうちの約30%がリフォーム・リノベーションに関する相談です。

 

なかでも「入居後の不具合」が最も多く、「契約と工事の内容の相違」「工期の遅延」と続きます。一概には言えませんが、このなかにも売買契約時の「契約内容の確認」や、リフォーム・リノベーション工事前の「物件調査」の不備が関与しているものがあると考えられます。

 

この記事では、リノベーション事業に携わるすべての人が最低限知っておくべき91項目を『リノベーションコーディネーターハンドブック』より抜粋しまとめました。プロなら知らないことは1つもないはず!早速チェックしてみましょう。

 

リノベーションコーディネーター資格制度とは。

一般社団法人リノベーション協議会が独自の基準により認定した資格制度。リノベーション事業での基礎知識を学んだ人に与えられる。資格制度では、建築、設計、不動産売買、金融、税制、そして、わが国が目指すカーボンニュートラルへの取り組みや各種制度の要点を横断的に押さえている。2024年度の受付は、10月31日まで!試験期間は、11月30日まで。

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不動産売買の知識

不動産仲介は不動産担当だけが知っておけばよいなんてことはありません!設計事務所や工事業者も売買の知識がないと、工事のトラブルにつながります。

□「仲介(媒介)」と「買取」の違いが分かる

 「仲介(媒介)」とは、不動産会社が買主と売主の間に入って両者の契約を成立させる方法。「買取」は、不動産会社が自社で物件を買い取って、リノベーションなどの魅力的な付加価値を上乗せして再度販売(再販)を行う方法です。

 

□中古住宅の媒介契約には3 種類がある

媒介契約には、①専属専任媒介契約、②専任媒介契約、③一般媒介契約、の3種類があります。

 

□契約前に「重要事項説明書」を説明するのは義務

 

□「重要事項説明書」には3 つの項目がある

①主に物件に関すること、②取引条件に関すること、③その他の事項、が書かれており、お客様が契約をするかどうかを決めるうえで必要な情報を記載します。

 

□物件状況報告書の作成を怠ると契約不適合責任につながる

 

□石綿、雨漏り、シロアリ被害の有無などは事前に確認する

記載を怠ると契約不適合責任に問われてしまう可能性があります。

 

□中古マンション売買の場合は「重要事項調査報告書」も必要

 

□「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に改正されている

 

□隠れた瑕疵も責任を負うことになる

買主にとっては、中古物件をより安心安全な状態で買いやすくなった一方、売主や仲介を行う不動産会社の責任は重くなっています。

 

□建物状況調査の説明とあっせんは不動産会社の義務

 

□建物状況調査と瑕疵保険会社のインスペクション項目は違う

インスペクションのなかでも説明義務化の「建物状況調査」は、宅地建物取引業法で定められた基準「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に則って行われるものを指します。一方で、瑕疵保険を付保するために必要な調査(インスペクション)もあるので区別しましょう。

 

□施工業者は、石綿含有の有無の事前調査結果を報告する義務がある

 

□買主の立ち合いのもと現地調査を行うのが理想

特に、間取り変更で柱や梁を抜いたり、壁など撤去したりする際には、耐力壁か否か、柱や梁は補強すれば大丈夫かなどの検討が重要です。

 

□工事中の騒音トラブルを防ぐため、工期や申請方法を厳守する

 

□トラブルを未然に防ぐために近隣や地域特有のルールをチェック

 

□既存マンションの長期修繕計画期間は30 年以上と定められている

長期修繕計画のチェックも怠らずに。

 

□大規模修繕工事の時期により専有部分の工事ができないことがある

リノベーション工事をする前には必ずチェックすべし。

 

建築法規に関わる知識

 設計事務所や工事業者はもちろん、お客様の要望に合致した中古物件を仲介する不動産担当、インテリアコーディネーターも知っておかないといけません。

□建築確認が不要の場合でも建築基準法などの関連法規は遵守

 

□建築確認が必要な改修では検査済証の有無で対応が変わる

 

□建築基準法と消防法のセットで火災から人命を守る

 

□分譲マンションでは管理規約に加えて “区分所有法” を再確認

 

□違反建築物と既存不適格建築物の違いを正しく理解している

 

□増築を行う場合には建築確認が必要となる場合がある

 

□改修の規模が半分を超えると建築確認が必要となる

 

□マンション改修の対象は専有部分のみで共有部分は不可

玄関ドアや窓は共用部なので触れません。

 

□11 階建て以上の高層マンションでは高層区画に要注意

 

□居室は平均天井高(2.1m)、ロフトは最高内法高さ(1.4m)を守る

 

□窓には採光・換気・排煙の役割があり、必要な面積がある

間違って閉じないように!

 

□火気使用室(キッチン)では使用される仕上げ材に制限がある

 

□2025 年の省エネ基準義務化で4 号建築物がなくなる

 

□断熱改修による高さ・面積の超過に特例許可が適用

 

□2025年の法改正の内容は要チェック!

 

お客様対応の知識

 クレームを最小限にするためには、お客様とのコミュニケーションが大切。そのなかでも、最低限押さえるべき知識をピックアップしました。

□内覧ではお客様の希望をかなえられるか物件の状況を確認する

 

□早い段階でローンの事前審査をし、借りられる金額を把握する

 

□リフォーム一体型住宅ローンは、金利が低く抑えられる

 

□「リフォームローン」は金利が高く返済期間が短いため注意

 

□購入希望の物件の周辺環境も確認する

 

□物件費用と工事費用のほかに総額の7~10%の諸費用がかかる

 

□ローン審査の前にリノベーションの概算見積りが必要

 

□変動金利と固定金利を必ず比較検討する

 

□ローンの審査は年収額と返済負担率が重要

 

□ローンの契約から借り入れの間にリノベーションのプランを固める

 

□不動産売買契約、住宅ローン契約、工事請負契約の3 つがある

 

□いずれの契約も同時進行で進めることが大切

 

□担当者や会社を守るために、約款をつくって詳細を記載する

 

□加入できる損害保険に加入し、不測の事態に備える

 

□リフォーム瑕疵保険でリフォーム工事のリスクを少なくする

 

 

契約後から引渡しまで

 スケジュールをいかに守るかが肝。また、プロジェクトに関わる誰かが安易に「できます!」と言ってしまうとトラブルの原因に…。

□見積り時に資材費や工賃が変動する可能性があることを伝える

 

□マンションの場合は管理会社または管理組合に工事申請を提出する

 

□住宅ローン控除は住宅取得日または工事完了から6 カ月以内の入居が条件

 

□お客様の要望を誰が現場に落とし込むのか決めておく

 

□浴室やキッチンの工事は、設備の納期から逆算する

 

□工事の遅れが見込まれる場合は、引渡し条件を決めておく

 

□現場への出入りのルールをお客様に伝える

 

□解体後、元図面との整合がとれているかを確認する

 

□解体後に発覚した欠陥や不具合は、プラン・工程・費用に直結する

 

□引渡し後は、図面や写真などをきちんと整理しておく

 

□検査基準への適合だけではなく「報告」「保証」「住宅履歴」が必要

「適合R住宅」を表示する場合、工事完了後、適合検査を行います。

 

□「適合R住宅」に登録すると、消費者はWEB上で住宅履歴を閲覧できる

 

□「適合リノベーション住宅」の契約者には適合状況報告書を交付する

 

□保証書交付は事業者側のリスク管理としても重要

 

エネルギーと環境対応

省エネに関する知識は、建築に携わる人なら全員押さえておくべき。住まい手の健康だけでなく、補助金などの優遇にも関わってきます。

□住宅の快適性は、部屋の温度だけでは決まらない

部屋の壁・床・天井の表面温度の影響があります。

 

□断熱で熱の出入りを少なくすることが快適性のカギ

 

□断熱性の高い住宅では光熱費も節約できる

 

□日本は諸外国と比べ断熱基準が低いガラパゴス

 

□今後は日本でも断熱基準が厳しくなることは必至

 

□高断熱の住宅では健康的に暮らせる

 

□省エネルギー性能は、外皮性能と一次エネルギー消費量で評価される

 

□断熱性は熱の逃げやすさの指標はUA値

 

□一次エネルギー消費量の指標はBEI

 

□販売・賃貸時の省エネ性能表示制度が改正された

 

□WEB プログラムから光熱費を導き出せる

 

□熱が逃げやすい窓の断熱が最も効果的

 

□気密性や日射調整も快適さと、省エネに影響する

 

□必要な断熱性能は地域の気候によって異なる

省エネ基準の地域区分を確認しましょう。

 

□マンションも開口部の断熱化を優先的に行う

窓自体は専有部分で取替できないので内窓を設置します。

 

□住戸によって断熱が必要な箇所は違う

中部屋と最上階、地上階など、場所によって変わります。

 

□家庭では冷暖房・給湯以外のエネルギー消費も多い

 

□創エネルギーで電気代0 円も目指せる

 

□減税制度は環境性能などで内容が異なる

断熱をすることで、さまざまな優遇を受けられるようになります。

 

□各省や都道府県、市町村による補助金制度が出始めている

 

□住宅金融支援機構による優遇制度も確認する

 

関連法規・制度

建築法規以外にも知っておくべき知識はたくさんあります。ここでは、最低限の内容を記載しました。

□住生活基本法によって住宅政策が「量」から「質」に方向転換した

 

□継続して「住宅ストック」は重要施策として掲げられている

 

□内装工事、軽微な工事だけでも実務にかかわる法規を把握する

 

□契約や販売、広告に関する法規についても把握しておく

個人情報の取り扱いには厳重な管理が求められます。デジタルツールの普及により便利になった一方で、大量のデータが簡単に盗まれたり、漏洩したりすることも珍しくありません。

 

□住生活基本計画をベースに支援事業の内容が決まっている

補助金制度について、補助金の対象になるか、受給できる金額はいくらか、申請に必要なスケジュールはどうなっているかなど、把握しておきましょう。

 

□支援事業には年度期限があるのでこまめに確認する

 

□「安心R住宅」は要件を満たした販売中の既存住宅に標章を表示する制度

 

□「住宅リフォーム事業者団体登録制度」は、消費者が安心して相談できるリフォーム事業者を選定するための制度

 

□一定金額以上の請負工事にはリフォーム瑕疵保険の付保が必要

 

 自分の業務範囲には関係ないから大丈夫と思ったあなた!1つでも知らないことがあった場合は、要チェックですよー!

もっと詳しく知りたい人は、ぜひ『リノベーションコーディネーターハンドブック』で確認することをおすすめします。

リノベーションに関する最低限の知識を丸っと1冊で学ぶことができます。

リノベーションコーディネーター資格制度とは。

一般社団法人リノベーション協議会が独自の基準により認定した資格制度。リノベーション事業での基礎知識を学んだ人に与えられる。資格制度では、建築、設計、不動産売買、金融、税制、そして、わが国が目指すカーボンニュートラルへの取り組みや各種制度の要点を横断的に押さえている。2024年度の受付は、10月31日まで!試験期間は、11月30日まで。

 

リノベーションコーディネーターハンドブック

PDF版は、紙版より700円お得に購入できます!

定価 2,500円+税
著者名 一般社団法人リノベーション協議会
ページ数 136
判型 B5判
発行年月日 2023/08/10