恐竜橋こと「東京ゲートブリッジ」
2012年に完成した東京ゲートブリッジは東京港に2つの埋め立て島を結ぶ橋。その形状から「恐竜橋」とも呼ばれていますが、実はこの形になったのには理由があります。東京港の玄関口でもあることから、橋の下は船が通ることができる高さを確保。一方で橋の上は近くを飛行機が通るため(空域制限)、海面から100m以上のものは建設できないという制限が。上と下からの厳しい制限によりこのような形になったのです。
回るよ「東京臨海風力発電施設・若洲風力発電施設」
名前は長いですが、要するに風力発電、ぐるぐる回っています。東京ゲートブリッジが結ぶ2つの埋め立て地にはどちらにも風力発電が立っています。若洲の方は1つの羽が長さ40m!タワーと合わせると約100mにもなる巨大インフラです。東京臨海(通称「東京風ぐるま」)のほうは一回り小ぶりになっています。その理由は、羽田空港に東京風ぐるまの方が近く、これまた空域制限などによる影響によります。
封鎖できない「レインボーブリッジ」
レインボーブリッジも飛行機から見える橋の代表です。上からワイヤーで吊る「吊り橋」ですが、この構造になった理由の1つが高さが押さえられることにあります。高さを抑えるのは、これも羽田空港の空域制限の影響です。東京の湾口は羽田空港によって支配されているのかもしれません……恐るべし羽田空港の空域制限
世界第5位の利用者、東京の玄関口「羽田空港」
そもそも羽田空港自体もかなり特殊なドボクです。特に2010年に完成したD滑走路は小島のようにつくられていて、構造も特徴的。桟橋と埋め立て地のハイブリット構造になっています。つまり、西側は無数の柱によって支えられて海に浮かび、東側は埋め立てられた地盤によって支えられているんです。ハイブリット構造になったのは、多摩川の河口部に位置するため、河川の流れを妨げないような構造にする必要があったから。D滑走路は大変な技術が必要とされた難工事だったそうです。
空の旅の前・後に楽しめる「東京モノレール」
飛行機に乗る前に、もしくは乗った後に使ってほしいのが「東京モノレール」。羽田空港から浜松町まで、1つのアトラクションといっても過言ではありません。建設には軟弱地盤や用地獲得の難航など様々な困難があったことから、特殊工事や特殊工法を屈指。紆余曲折の結果、水面を走ったり、線路がアップダウンをしたりしながら東京の町をすり抜けていく東京が誇るドボクとなりました。
奥が深いドボクの世界
ドボクは「この形になった訳がある!」のが面白いところです。そんな理由がわかると普段見慣れた景色もちょっと違って見えてくるかもしれません。飛行機からでも地上からでも、とっても楽しいドボク鑑賞をぜひこの夏に!(航空路によって見えないこともありますのでご容赦を)
写真:大村拓也
北河大次郎、紅林章央、小野田滋、高柳誠也 著
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【NEWS】土木学会賞受賞
『東京の美しいドボク鑑賞術』が土木学会賞の出版文化賞を受賞しました。土木学会賞は大正9年に創設された、伝統のある大変名誉な賞です。6月13日に授賞式が行われ、著者を代表して北河大次郎さんが参加されました。
授賞式の様子。前会長より賞状を授与されました