【2025年度保存版】日本の美しいエコハウス10選。新築・平屋・リノベ・賃貸住宅の最新事例を解説

脱炭素時代の住まいを探る実例コンテスト「日本エコハウス大賞」。2025年7月に第9回日本エコハウス大賞の設計審査を行いました。ここでは、約150作品の中から選ばれたノミネート10作品を紹介します。2025年9月19日㈮の最終プレゼン審査会で、グランプリが決定します。

全国各地のすごいエコハウスが勢ぞろい!

第9回日本エコハウス大賞では、約150作品から新築部門4作品、リノベーション部門2作品、モデルハウス・自邸部門2作品、集合住宅・小規模施設部門2作品を選出しました。

この中から、2025年9月19日㈮の最終プレゼン審査会で、グランプリが決定します。

詳細はこちら https://t.livepocket.jp/e/6_2_c

ここでは、各作品の見どころを紹介します。

Contents

【新築部門】
No.1:ニコハウス設計室「ちょうど暮らしの平屋 ふたりの間」
No.2:大幸綜合建設(DAIKOstyle)「風景にひらく凛とした木の家」
No.3:POTOS DESIGN OFFICE「塩谷の家」
No.4:サンハウス「音楽と暮らす家」

【モデルハウス・自邸部門】
No.5:群栄美装「峻嶺の家」
No.6:住設計室「昭和をつなぐ土壁再生の小さな家」

【リノベーション部門】
No.7:ダイシンビルド「陰影が調和する、京都の家」
No.8:アティックワークス「時ヲツナグ家」

【小規模施設部門】
No.9:小泉木材+Ris Architects「Kizuki Terracehouse 桜台」
No.10:サトウ工務店+天野保建築「丹波山村村営住宅」

 

新築部門

ノミネートNo.1

ニコハウス設計室「ちょうど暮らしの平屋ふたりの間」

夫婦二人が安心して暮らせる高性能なミニマム住宅。スケルトン・インフィル構造で将来の住み替えや賃貸にも対応。0円ソーラーで災害時も安心し光熱費を削減。小さな住まいだからこそ光や視線の抜けに工夫し、開放感とプライバシーを両立している。

<最終審査会では、ここを聞きたい!>

延床面積44.72㎡、総工費1,650万円というミニマルさに審査員も驚き! 価格高騰で住宅を小さくする提案が多い中、ここまで小さくしたことで住まいの快適さは損なわれないのか。スケルトン・インフィルの考え方がどこまで通用するのか? 究極の小さな家のあり方を探りたい。

 

ノミネートNo.2

大幸綜合建設(DAIKOstyle)「風景にひらく凛とした木の家」

都市の喧騒を離れた住宅街の角地に建つ木の家。風致地区や壁面後退の規制下で断熱等級6を実現。屋久島地杉と切妻屋根は風景に調和しつつ存在感を放つ。シンメトリーのファサードと植栽により、街に開かれた静かな住まいをかたちづくった。

<最終審査会では、ここを聞きたい!>

構造が非常に整っていて、柱の直下率も高く、美しい設計ができている。一方で、庭に出る・つながるための掃き出し窓が計画されていなかった。外とのつながりに対して設計者の考え方をもう少し突っ込んで聞いてみたい。

ノミネートNo.3

POTOS DESIGN OFFICE「塩谷の家」

田畑に囲まれた閑静な地に建つ切妻屋根の住まい。深い軒下に木材を多用し、自然と調和する外観を目指した。断熱等級7LCCM住宅として高効率設備や国産材を取り入れ、建築から廃棄までのCO₂排出を抑制し、脱炭素社会に寄与する住まいを提案した。

<最終審査会では、ここを聞きたい!>

本コンテストでは、初のノミネート作品。意匠・性能ともにレベルが高く、太陽光発電9.6kW+蓄電池13.5kWの搭載もしている。完璧といえる住まいのつくり手は、今後の家づくりにどのような課題や挑戦をもって取り組んでいるのか聞いてみたい。

ノミネートNo.4

サンハウス「音楽と暮らす家」

LDK・楽器練習室・小屋を独立配置し、庭越しにつながる住まい。練習室は天井高さを確保しつつ圧迫感を抑え、小屋は置き配や多目的利用に対応し、配送者の負担にも配慮。焼スギの黒は四季の彩りを引き立て、光や時の移ろいを受け入れる素材として日本文化の情緒を醸す。

<最終審査会では、ここを聞きたい!>

歴代グランプリを受賞しているサンハウスは、3回目のノミネートだ。5年前のノミネートから設計力がぐんぐん上がり、よりより住まいのかたちをどん欲に求める姿に設計審査会では注目が集まった。今、彼は何を重視して家づくりをしているのか、改めて話を聞きたい。

モデルハウス・自邸部門

ノミネートNo.5

群栄美装「峻嶺の家」

平屋のモデルハウスであり、同社代表が家族と暮らす等身大の住まいでもある。子ども7人の大家族が快適に過ごせるよう内外に多様な居場所を設けている。住まいは中庭に開くコートハウス形式で、北面に大開口を設けて赤城山の雄大な山容を日常の風景として取り込んだ。

<最終審査会では、ここを聞きたい!>

「住宅でもあり建築でもある」という追い求めているモデルハウスとしての理想の姿(暮らし方や生き方のある種の提案)をどのように考えているのか。一方で、実際にどのように暮らしているのかが写真からは伝わらなかった。プレゼンテーションでは、理想と現実のリアルを聞いてみたい。

ノミネートNo.6

住設計室「昭和をつなぐ土壁再生の小さな家」

62年の家を約20坪に減築し、土壁や和室などを残しながら断熱・耐震性を向上。解体土を再利用し、廃棄物削減にも配慮した。外観は板張りと植栽で街並みに温かさを添え、L資産価値と環境負荷を考慮し、次世代へ受け継ぐ住まいとした。

<最終審査会では、ここを聞きたい!>

「次世代へ受け継ぐ住まい」というのは簡単だが、この作品では、どうすれば受け継がれるのかを構造や断熱だけでなく、シンプルな意匠や可変的な間取りなどで進撃に取り組んでいる。自分たちの代だけで終わらせないリノベーションのあり方を一緒に考えたい。

リノベーション部門

ノミネートNo.7

ダイシンビルド「陰影が調和する、京都の家」

東京暮らしのご夫婦が、終の棲家として京都を選んだ。リノベーションでは、階段を緩やかな勾配にする、吹抜けを設けて広がりを感じさせるなど、身体的・心理的な負担の少ない計画とした。断熱等級6に挑戦し、ストック住宅の可能性を拡大している。

<最終審査会では、ここを聞きたい!>

特に注目したのは、壁の厚みが部位ごとに違って、適材適所の断熱計画がなされていること。町屋らしさを残しながら、この家ならではの性能向上を行う高度な技術を感じた。改修の技術的な面と、工務店だからこそできる意匠面の勘所を聞いてみたい。

ノミネートNo.8

アティックワークス「時ヲツナグ家」

60年、大阪市内の狭小敷地に建つ、10坪・総2階の改修。建物がコンパクトなサイズであることから、既存の構造区画をできるだけ生かし、シンプルなワンフロアで構成。設備機器も道路側にまとめ、景観への配慮と無理なく維持管理できる仕様とした。

<最終審査会では、ここを聞きたい!>

狭小地で、なおかつ予算のない中でのリノベーション。資料を見ていると、できる限りのことに目いっぱい取り組んでいる。コストをはじめ、耐震補強や劣化対策などに、どこに費用をかけて、最適化していったのか……格闘した軌跡を追いたい。

小規模施設部門

ノミネートNo.9

桜台小泉木材+Ris ArchitectsKizuki Terracehouse

横浜らしい丘陵地の高台に建つ高性能賃貸住宅。南外壁面には大開口の高性能サッシを設置。日射を取り込むことで、真冬でも無暖房で平均室温が20℃を超える快適な室内環境を実現している。屋根には7.4kWの太陽光発電を搭載。その恩恵が子どもたちの学びや体験の時間へと変わっていくことは、「未来へ手渡す豊かさの再分配」だと考えている。

<最終審査会では、ここを聞きたい!>

土地取得と建築投資は、ホールディングスが担い、設計・施工・募集まではグループ内で行う体制を構築。建設コスト高の一方で、家賃は周辺相場に合わせている。工務店がどうやって自分の地域で高性能賃貸住宅を増やしていけるのか、これまでにない社会的試みの構想を詳しく聞きたい。

ノミネートNo.10

サトウ工務店+天野保建築「丹波山村村営住宅」

地域に根差した公営の高性能賃貸住宅。装飾は最小限、構造そのものの美しさを生かす設計で、時代や入居者が変わっても品格を保ち続ける。BELSで「光熱費なし」と示された戸建賃貸として、快適性と経済性を両立させた。山梨県産スギなど再生可能資源を用い、環境負荷も抑えた脱炭素×長寿命×居住快適性の三位一体型プロジェクトである。

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<最終審査会では、ここを聞きたい!>

3地域という寒冷地の山梨県丹波山村で、公営住宅としては驚くほど高い住宅性能を実現した、全国の自治体が学ぶべきプロジェクト。プレゼンテーションでは、限られた地域資源をどう生かし、どのような意識でこのスキームが組めたのか知りたい。

10作品のプレゼンテーション&審査員による質疑応答をオンラインで配信!

2025年9月19日㈮13時から、10作品のプレゼンテーションと審査員による質疑応答をオンラインで配信します。当日は、伊礼智、前真之、三澤文子、佐藤実、岸野浩太、大島芳彦、斎藤健一郎によるディスカッションも。5時間いつでも出入り自由。アーカイブ配信あり!エコハウスを手がける人は必聴のイベントです。

9月19日㈮の最終プレゼン審査会の詳細はこちら https://t.livepocket.jp/e/6_2_c

【申込特典!】チケットを申込者には、10作品に加え、協賛所為7作品の概要と平面図・断面図、屋根(天井)・壁・床(基礎)の断熱仕様などが記載された全39頁のPDF誌面をプレゼント!資料性抜群の内容です。

第9回日本エコハウス大賞 グランプリ大予測をライブ配信!

2025年9月12日㈮19:00よりオンラインにて、歴代日本エコハウス大賞受賞者の相模稔(オーガニックスタジオ新潟)と、関尾英隆(あすなろ建築工房)の2人が第9回日本エコハウス大賞のグランプリはどの作品になるか大予想します!!!有益情報満載なのに大爆笑間違いなし!? ビルダーズNo.62の誌面とお酒を片手にご参加ください。