暮らしに彩りをもたらす窓
「赤塚の家」[※]は、1・2階ともに溜まりとなる3つのスペースが分散し、それを移動空間でつなぐゾーニングが大きな特徴です。これは住宅密集地という敷地条件から導き出された答えです。ワンルームとしたLDKの南側に大きな窓を設けるのではなく、ダイニング・キッチンとリビングの領域を緩やかに分け、それぞれの場所に最適な窓を設けることで、落ち着きのある空間に。窓は家具のレイアウトにも配慮して配置しています。
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❶「赤塚の家」のリビング、廊下、ダイニング・キッチン。それぞれに家具やキッチンなどのレイアウトに合わせて、高性能窓「TW」が取り付けられている。従来品樹脂窓よりも、ガラス面積を30%拡大した分、枠廻りの見付け寸法も小さくなり、枠廻りがすっきりとしている。もちろん、断熱性能も高い
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❸設計を手がけた古谷野裕一氏は1984年東京都生まれ。板橋を拠点として設計・施工を行う工務店の6代目代表取締役。小川広次建築設計事務所出身で、末永く愛着をもって接することのできるデザインを提案。2016年に「東大宮の家」が「LIXILメンバーズコンテスト2016」で大賞を受賞
移動空間では、開口を抑えた居室とは異なり、より採光や周辺環境とのつながりに重きを置きました。外壁面は後退させ、窓を大きくし、天窓も設けています。結果としてLDKにはさまざまな方向から光が入り込むので、光と影が適度なバランスで共存する空間になりました。時々刻々と変化する光と影が、日々の生活に豊かな彩りを与えてくれるはずです。
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➎リビングに取り付けられた縦すべり出し窓TF(縦すべり出し窓+FIX窓)。ややグレイッシュな白い内装に合わせて、内観色はプレシャスホワイトPを採用。窓の大きさはW1,350×H1,320㎜。取り付け位置も壁際から少し離したうえで左側に寄せ、道路側立面の見た目を整えている
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➏廊下の上に天窓「スカイシアター」(LIXIL)を取 り付けて、モールガラス越しに柔らかい光をLDKに採り込む。天窓の存在は、「TW」越しに前面道路からも感じられる
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❼廊下にはW678㎜×H1,950㎜のFIX窓を設けて多くの光を採り込むともに、隣り合う色鮮やかな突き板(マコレ)のテクスチュアを強調している「赤塚の家」では、こうした縦長の窓を随所に設けて景色を切り取っている
このような環境をつくるものとして、窓は黒子であってほしい。そんな思いから「赤塚の家」では「TW」(LIXIL)を採用しました。枠廻りの見付け寸法がとても細く、納まりを工夫せずとも、建築との一体感が得られます。ガラス面積の拡大によって、断熱性能も向上。デザインや性能の両面で、暮らしの質を高められる窓といえるでしょう。 [談]
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➓移動空間にある大きな窓には、下枠部分に窓台(ゴム集成材)を取り付けて、収納スペースやベンチとして活用している。「ベンチの先端にテーパーをかけて、見付けを薄くすることで、ほかの開口の窓台とのバランスを整えています」(古谷野氏)
※ 「赤塚の家」ではLow-Eペアガラス(アルゴンガス入り)の「TW」が採用された。外皮平均熱貫流率(UA値)は0.45W/㎡・K。加えて、LIXILと東京電力エナジーパートナーが設立した「LIXIL TEPCO スマートパートナーズ」が提供するサービス「建て得」を利用して、8kWの太陽光発電システムを搭載している。余剰電力売電収入をLIXIL TEPCOスマートパートナーズに供与する代わりに、建築主が購入する太陽光発電システム製品代(建て得バリューは工事費も含む)のローン支払負担が“実質0円”になる
赤塚の家 設計=古谷野裕一/古谷野工務店 写真=鈴木信之介 協賛=LIXIL