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平安時代の住居ってどんなの?
平安時代の貴族住居は寝殿造と呼ばれます。寝殿造の特徴の1つは、敷地の周囲に高い塀を巡らし、その内側に中門廊と呼ばれる第2の囲いを設けている点です。
つまり、外部から訪れて住居の中心に位置する寝殿や南庭に至るには、2つの門を通り抜けなければなりません。
もう1つの特徴は、寝殿をはじめとする主要な殿舎が儀式を行うための開放的な大列柱空間の建物であることです。この儀式用の列柱空間に建具をはめ込むことで、居住空間がつくられていました。
住居の内部も大解剖!
平安時代の住居(寝殿造)は母屋と庇を隔てる壁などはなく、基本的には木の丸柱が立ち並ぶがらんどうでした。開放的な空間に、用途に応じた家具や、間仕切(建具)を配置する(しつらい)システムです。
内部の構成は、母屋と南庇がメインの空間で、儀式、居間、寝所として利用していました。南庇は昼間の居室や、庭での儀式を見る時の席でもありました。北庇にも北面の寝所が設けられます。北孫庇などは侍女(貴人に仕える女性)の控え場所、西弘庇は吹放しの庇で、儀式時に勅使(天皇が命令を伝える際の使者)との対面などが行われました。また、「孫庇」は庇の外側に延長された庇、「弘庇」は吹放しの庇を指します。
「光る君へ」でも気にして見てみるのもいかがでしょうか。
「引違い」の建具は、この時代に登場!
古代建築では回転式の建具が一般的ですが、平安中期になり引違い形式の建具が登場します。
寝殿造では大空間をシーンに応じて区切るため、さまざまな屏障具が使用されました。
必要な際に建具をはめ外す、開放しつつ視線は遮りたいなど緩やかに仕切りたいときは蔀戸の内側に御簾をかけるなどの工夫をしていましたが、いちいち手間がかかるため、これらを「置いたまま通れるように可動式にした」ことが、遣戸(引違い戸)の起源となっています。
このほかにも、時代別にさまざまな建物や街並みを取り上げています!
建築知識2022年8月号は、縄文から江戸時代まで、貴族や武士の館、神社や庶民の住まいをイラストで図解した1冊。
執筆には、大河ドラマやアニメ・映画での時代考証や史跡の保存・復元に携わる専門家や第一線で活躍する建築史家など名だたるメンバーを迎え、最新の学説をもとに解説しています。
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建築知識22/08 縄文から江戸時代まで 日本の家と町並み詳説絵巻
定価 1,800円+税
ページ数 134
判型 B5判
発行年月 2022/07
ISBN 4910034290826