造園家にサクッと学ぶ、樹木のイラストをそれっぽく描く簡単な方法

樹木は、動物や人工物などに比べて、描くのが難しいと感じる人も多いのではないでしょうか? 描き慣れていない人や、植物にあまり詳しくない人にとっては、意外と厄介なモチーフでしょう。そこで今回は、植物のスペシャリストであり、イラストを使って庭のイメージを伝えるプロでもある造園家に、初心者でも“それっぽい樹木”が描ける方法を教えてもらいました。

①下から上に向かって描く

樹木は基本、下(根元)から上に向かって描くのがお勧めです。
光を求めて上へ上へと枝葉を成長させていくのと同じですね。
 →  →  → の順番です。
枝を描くときは、左右対称に描かないように注意しましょう。
左右非対称のほうが自然な樹形になります。

 

②「幹は、濃く太く」「枝先は、淡く細く」

幹は少し筆圧を強めて、濃く太い線で描きます。
そして、枝先に向かうにつれて少しずつ筆圧を弱め、細く淡い線でスッと流れるように描きましょう。
このとき、光の当たる方向を意識して、幹や枝に少し影をつけると立体感が増します。
これは色塗りのときにも意識してください。

 

幹や太い枝を利用して、奥行きを表現すれば、より立体感のある描写になります。
太い幹と細い枝を重ねて、前後関係を強調するのがポイントです。

 

 ③枝葉には余白が必要

枝葉を描くときは、「余白」を意識すると仕上がりが良くなります。
緻密に満遍なく枝を茂らせるのではなく、ところどころ余白を残すことで、形のよい樹木になります。

色数は2~3色がお勧め。
少ない色で塗ることで、画面にまとまりが生まれます。
色を塗るときは、手前を濃く、奥を淡く塗ることを意識しましょう。
幹の影はグレーもしくは紫で塗ると自然な木の風合いが表現できます

 

④大きさの比較になるものを描き込む

樹木と一言で言っても、高木、中・低木など、大きさや高さはさまざまです。
樹種や樹木の大きさを表現したい場合は、人の添景など大きさの比較になる対象を近くに配置すると、サイズ感が伝わりやすくなります。
これで完成です。

 解説:荒木造園設計
イラスト:玉松葵(荒木造園設計

 

見える!伝わる!使える! 「ぜんぶ絵でわかる」シリーズ第4弾は植栽! 建物が引き立つ植え方から美観を維持する方法まで “美しい植栽の秘訣”がロジカルに学べる1冊

ぜんぶ絵でわかる4植栽

荒木造園設計 著
208ページ
A5版
定価2,200円