イラストレーターTAOが解説!ごちゃごちゃした絵の着彩テクニック|演出力を底上げするイラスト描き方講座【第3回】

緻密な描き込みを得意とするイラストレーターのTAOさん。2024年1月号から「建築知識」の表紙イラストを担当しています。そんなTAOさんが、毎月の「建築知識」の表紙イラストをもとに、「イラストの演出力」を底上げする描き方を解説! 今月はごちゃごちゃしたイラストの着彩テクニックを伝授します。

TAO(たお)
2020年1月よりフリーランスのイラストレーターとして活動を開始。広告ポスターやwebサイトのメインビジュアルなどで、主に女の子と日常的な背景のイラストをデジタルで制作している。繊密な描き込みが得意。著書に『「ごちゃごちゃ」した絵の描き方 好きなものを好きなだけ詰め込んだ密度の高いイラスト』(翔泳社)がある。

 

「建築知識」2024年9月号の特集テーマは「部位ごとに押さえる 建物を描くための建材・設備図鑑」。表紙のイラストは「レトロPOP商店街」というお題をもとに制作しました。

銭湯には瓶のフルーツ牛乳や古い形の扇風機があり、向かいのおもちゃ屋さんにはレトロなガチャガチャが並ぶ、昔ながらの雰囲気の商店街です。
動物は猫だけでなく虫や鳥も好きなので、今回は蝶とスズメが飛んでいる姿を描きました。
天井のアーチ型の窓を虹色にして、空に虹がかかっているようなデザインにしました。
[使用ツール:CLIP STUDIO PAINT

 

\メイキング動画はこちらから/

 

 

 ポイント1 アーチと地面のタイルを描く

アーチと地面は「対称定規」を使用して描きます。
左右対称の物を描く時は対称定規が便利。今回はパースに合わせるため、縦の赤い線に合わせて対称定規を作成しました。これで作成した定規線を中心に、左右対称に描画できます。半分だけ描けばもう半分も同時に仕上がるので、時短になります。

 

ポイント2 朝顔を描く

朝顔は線画を描く前に色で下書きを描きます。
緑色は葉っぱ、ピンク色は花の位置です。バランスを見ながら配置しました。
まわりに何もない状態だと葉っぱや花をどのくらいの大きさで描けばいいのかが分からないので、目安として人物の大きさを朝顔の近くに配置します。人物の大きさに合わせることで、朝顔を自然なサイズ感で描けます。また、朝顔以外の物も人物を基準に大きさを合わせることで自然な印象になります。

 

ポイント3 大→小の順で色を塗る

大きい物に色を塗った状態。銭湯の外壁(タイルや木材)、空を着彩した

中くらいの物に色を塗った状態。赤色をアクセントカラーとしたため、バランスを見ながら、赤色に塗る物を決めた

小さい物に色を塗った状態

色を塗るときは大きい物→中くらいの物→小さい物の順番で塗ります。大きい範囲を先に塗ることで全体の大まかな印象を決められるので、それに合わせて細かい色を決めていきます。

今回の絵の場合は、
大きい物:空、銭湯とおもちゃ屋の壁、地面、朝顔の葉っぱ、アーチなど
中くらいの物:他のお店の壁、お店のテント看板、銭湯ののぼりなど
小さい物:女の子や動物、おもちゃ屋のおもちゃ、お店の看板、その他小物
と分けて着彩しました。

 色を決めるときは固有色のある物(朝顔の葉っぱの緑、すずめの羽の茶色、レトロなガチャガチャの赤など)を先に塗り、その後に色を自由に決められる物(女の子の服、おもちゃの箱、風船など)を塗っていくと、全体のバランスを取りながら配色できます。

ごちゃごちゃした絵を描くときは、着彩に用いる色の種類を増やすとイラスト全体をまとめるのがむずかしくなってしまいがち。なので、最初にメインで使用する色を6~10色程度決めて、そこから「彩度」と「明度」のみ変更した色を2色ずつ足す、という方法で使用する色を決めていくと、イラスト全体の色味にまとまりを出せます。

 

\完成/

TAOさんのイラストが表紙の「建築知識」2024年9月号は、本日8月20日(火)より発売。
ぜひ書店やエクスナレッジストアで詳細をチェックしてみてください!

 

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