「っぽい!」ポイント【1】
アーチは主に「石造りの大きな建物」に見られる
アーチ構造のカーブは、西洋風の建物の中でも堅牢な石造りにみられる形です。
特に城、門、邸宅、教会など、大きくて豪華な建物のイメージがあります。
一方木造の建物、特に民家は、窓や扉などシルエットの抜ける部分が直線になっていることが多いです。
(石造りの民家も、窓部分や扉部分は木の枠になっていたりします)
また、アーチを構成する部材には、特徴的な部分が2箇所あります。
■要石……キーストーンとも。アーチ頂部の中央にはめられるくさび型の石。ほかの石を固定する役割がある。装飾が施されることも多い
■迫元(せりもと)……インポストとも。アーチと垂直部分の間にある水平な帯。施工の足場をかけるため少し出っ張っている
これらのパーツも、アーチを作るのに必要な形です。
「っぽい!」ポイント【2】
西と東でアーチの形に特徴がある
アーチの曲線の形には、いくつか種類があります。
また、ヨーロッパでもおおまかに西と東とでは、よく使われるアーチの形状に違いがあります。
2つの円を交差させた曲線からなる尖頭アーチは、カトリックの教会など主に西ヨーロッパの建物に多く見られます。
一方、四中心アーチ(4つの曲線でつくられるアーチ)や馬蹄アーチは、ビザンティン建築、イスラム建築など東ヨーロッパの建物に多く見られます。
「っぽい!」ポイント【3】
「尖頭アーチ」は特にシチュエーションが絞れる
建物のタイプによっても、アーチの形に傾向があります。
シンプルな半円アーチや扇円アーチは、民家などふつうの人が使う建物に多く、
一方尖頭アーチは、主に教会や城、宮殿、お屋敷など、少し豪華な印象を与えます。
1回目は単純に見えて意外に奥が深い、「アーチの形」の話でした。
言われるとなんとなく…と各地域らしさをイメージできた方も多いんじゃないでしょうか。
「これが正解だから必ずこう描きましょう」という事ではないですが、知っておくと「それっぽい」背景を描く役に立つと思います。
何気なく映り込むアーチのシルエット一つで、伝わる世界観の解像度はぐっと上がります。
描きたいシチュエーションに合わせて、アーチを描き分けてみましょう。
著者プロフィール
犬丸
大手ゲーム会社に十年ほどグラフィッカーとして勤務。
退職後、フリーとして漫画やハウツー本などを制作(他、パース講師、ゲーム制作協力、背景アシスタント、シナリオ制作など)。
趣味で古代〜近代くらいの建築(主に西洋)の書籍を数百冊ほど収集している。
著書に『かんたん! マンガパース術』『かんたん! クリップスタジオ漫画術』(いずれも新書館)など。
X/@kuroinusha
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