日本の聖地と「水の神様」
日本では古くから水を司る神様として龍が尊ばれてきました。そのため、水の聖地と呼ばれる場所には「龍神伝説」が伝わっていることが多いのです。恵みの雨をもたらす雨ごいや、台風などで荒ぶる河川をなだめる治水など、龍は様々な役割を担ってきました。
パワフルな龍神伝説が息づく「室生龍穴神社」(奈良)
「女人高野」として知られる奈良の古刹「室生寺」から山道を歩くこと約30分。天の岩戸と称される岩山や洞窟に囲まれた堂々たる滝「招雨瀑」が現れます。あたかも岸壁を龍が滑り下りていくような光景は古代中国の水墨画さながらで、日々の憂いをすっきりと洗い流してくれるかのような涼やかさ。少々頑張ってでも足を延ばして、是非訪れて欲しい聖地のひとつです。
室生龍穴神社と吉祥龍穴については、『空海と密教 解剖図鑑』(宮坂宥洪監修/武藤郁子著)でも詳しくご紹介しています。
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『空海と密教 解剖図鑑』
富士山が育んだ奇跡の湧水群「忍野八海」(静岡)
「忍野八海」とは、富士山の麓の忍野村に位置する八つの美しい湧水群のこと。コバルトブルーに輝く神秘的な湧水の写真や映像を見たことがある方も多いのではないでしょうか? 富士山の雪解け水が地下の溶岩でゆっくりとろ過され、湧き出した水には霊山・富士のパワーが込められています。夏のレジャーで河口湖や山中湖などを訪れた際に、是非立ち寄ってみてください。
国護り神話の舞台として知られる「稲佐の浜」(島根)
最後にご紹介するのは、この記事冒頭の写真の「稲佐の浜」。出雲大社から徒歩10分、西1km先ほどの場所に位置する聖地です。大国主神(おおくにぬしのかみ)の二人目の息子・建御名方神(たけみなかたのかみ)と、武神として知られる建御雷神(たけみかづちのかみ)が「国護りの交渉(勝負)」を行った場所としても知られています。この浜では、全国八百万の神様が出雲大社に集うとされる神在祭の前夜(旧暦10月10日)に、神々をお迎えする「神迎神事(かみむかえしんじ)」が今でも行われています。その神事を経て、神々は出雲大社に向かわれるのだそうです。
『日本の聖地 解剖図鑑』
定価:1800円+税
監修:岡本亮輔/著:えいとえふ