ペラペラの体は何のため?
熱帯のサンゴ礁など、温かくて浅い海を再現した水槽には、カラフルで華やかな魚たちに目を奪われます。しかし、魚の“けなげな生きざま”を味わいたいなら、少し目線を下げて「ヘコアユ」を探してみましょう。
ヘコアユは、敵の目を逃れるために、落ち葉のようにヒラヒラと薄い体をしています。動かないことが敵に見つからない最善の方法なので、ほぼ1日中、小さなヒレを駆使して逆立ちしながらプランクトンを食べているのです。真横から見るとまるで線のように見えるので、目を凝らさないと見逃してしまいます。
イクメン? いやいや、“出産”もします
ウマのような顔、ヘビのような尾、カメレオンのような目――。これらはすべて「タツノオトシゴ」を表す言葉です。まじまじと見れば見るほど不思議な体をしていますが、れっきとした魚。
このタツノオトシゴ、なんとオスが“出産”するのです。オスのお腹には袋があり、メスがその中に産卵すると、オスは卵がふ化するまで大切に育て、袋から“出産”します。しかも、その数100匹以上。多い種では、1000匹になることもあるといいます。水族館で出産シーンを見るのは難しいですが、知る前と後では見え方が変わってきませんか?
水族館をもっと楽しむなら……
涼し気に泳ぐ魚たちには、知られざるけなげな一面があること、垣間見ていただけたのではないでしょうか。『けなげな魚図鑑』は、そんな魚の生態を楽しいイラストで紹介しています。水族館のおともに、予習に、ピッタリの一冊です!
『けなげな魚図鑑』
定価:1,600円+税
著者:松浦啓一