
戦略1:工事範囲を“過半以下”に限定する
築35年の既存住宅では、図面も検査済証も残っていないケースがほとんど。当然ながら行政は「既存の適法性」を示す資料を求めるが、多くの住宅ではその証拠が存在しない。
そこで新潟の工務店が採用したのは、工事範囲を建物全体の“過半に満たない床面積”に絞る手法だ。工事範囲を絞ることで、確認申請の対象外となることはもちろん、さまざまな法的リスクを最小化できる。もちん、工事範囲を限定したことで、建設コスト・工期の削減、またコスト削減分を活かした設計品質の向上が期待できる。
つまり「全体を直す」よりも、“どこを直すかを正確に選ぶ”ことが、建築基準法改正以降のリノベの第一の鍵と言える。
戦略2:伝統工法エリアにある“申請不要ゾーン”を理解する
京都の京町家では、条例に基づく個別指定によって、建築基準法が一部適用除外になり、申請が不要になるという特殊な仕組みがある。
京町家は、土壁、差鴨居、伝統寸法・継手・仕口の架構、増築で噛み合っていない屋根など、現代建築の“ルール外”で成り立っているため、建築基準法をすべて当てはめると、伝統的な工法が再生できないためだ。
もちろん、現場対応の難易度が極めて高いが、伝統構法や古民家の改修に慣れていて、高い技術をもつ職人を抱えていれば、ブルーオーシャンな市場ともいえる。
戦略3:2階建てを大胆に“平屋化”し、申請不要な新3号建築物にする
最も明快で、最も効果的な“申請回避”の方法がある。それは“2階を解体して平屋にすること”だ。平屋(新3号建築物)は確認申請の対象外となるため、制度上のハードルが一気に下がる。
長野の工務店は、築年数のある大きな二世帯住宅を「2階撤去して、平屋として再構成」するプロジェクトを実施。平屋にすることで、確認申請が不要になるだけでなく、重量減で耐震性向上、ワンフロアで生活効率化などを同時に実現させた。
やみくもに“全部直す”のではなく“賢く直す”時代へ
法改正後の木造リノベでは、従来のように「図面を描いて申請を通す」アプローチでは限界がある。重要なのは、どうすれば申請が必要な領域に踏み込まず、それでいて品質や性能を最大化できるか。今後はそこを突き詰めることが重要になってくる。
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