見付け幅(面)をなくしてシャープに見切る
外壁で通気を確保する場合に欠かせないのが、土台に取り付ける通気水切。空気を採り入れながら、壁体内への水の浸入を防ぐ役割があります。通気水切の選択肢としては、既製品の土台水切を採用するか、板金業者に製作を依頼するか、に大別されます。
前者では、30㎜程度の見付け幅(面)が存在するため、外壁材と基礎立上りの間に通気水切が見える納まりとなってしまいます。後者では、コストと手間が嵩むほか、前者のように水切に通気孔を開孔するのが難しいなど、性能上の問題が生じるリスクが生じます。
こうした点を踏まえて、通気水切を設けずに、外壁材を土台下まで伸ばして、外壁と土台の取合いを外壁の足下をスッキリ見せるという納まりを採用するケースも少なくありません。ただし、〇〇〇の点で懸念が残ります。
こうした性能・意匠における通気水切の問題点を解消できるのが、2023年にグッドデザイン賞を獲得した「WM 防鼠付シャープ水切り」(城東テクノ)。面が存在しないシャープな形に思わず目が引かれます。
もちろん、性能にも優れています。裏面には通気孔がしっかりと確保されているほか、奥には水返しが設けられています。通気層からの湿気を外部に排出しつつ、外部からの水の浸入を防げます。
こうした意匠と性能の両面に優れている「WM防鼠付シャープ水切り」は、デザインにこだわる設計事務所や工務店などで採用されるケースが増えています。
これを受けて、城東テクノでは「建築知識」(エクスナレッジ)と共同で、設計事務所を対象とする製品見学会を開催(2月)。設計者からの評価と製品開発の方向性を見定める機会となりました。
具体的には、「デザインが気に入っているので既に使ったことがある」「これまでは板金業者に製作を依頼するケースもあったが、今後は採用を検討したい」との声があった一方、「出幅が45㎜あるので、もう少し短くしてほしい」「1階の床を下げて設計したり、基礎断熱を行うケースもあるので、城東テクノさんが得意とする、基礎(気密)パッキンを含めた、より設計がしやすくなるような総合的な提案がほしい」などの声も聞かれました。
床面と面で納まる枠なし床下点検口
このほか、製品展示会では開発中の通気見切や天井点検口、基礎(気密)パッキンが展示され、2024年6月に発売となる「枠なし床下点検口」もお披露目されました。一般的な床下点検口は外側が樹脂枠でカバーされているのに対して、同製品は樹脂枠がなく、床材と床下点検口(15㎜厚のフローリング)が面で納められるものとなっています。
これまでは床面に生じていたノイズがなくなるため、参加した設計者も興味津々。蓋の部材構成(床材の裏側は床と同じ構造用合板12㎜厚)や気密性、使用できる床材のバリエーション、サイズ展開などについて積極的な意見交換が行われていました。
当面は600㎜角サイズが発売される予定。市場からの要望を鑑みて、サイズを増やしていく方針だといいます。