【災害対策-建築知識】屋根として佇む美しい太陽光発電

これまでの太陽光発電の常識を覆す製品が誕生しました。その名は「Roof-1」(モノクローム)。その佇まいは“屋根”にしか見えません。建築との同化によって生まれるデザイン上の効果は計り知れません。その秘密を紐解いてみましょう。

黒い立はぜ葺きの屋根に見える太陽光発電

建築意匠の観点からは、屋根上の太陽光発電パネルは邪魔な存在でしかないでしょう。屋根一体型を採用したとしても、青みがかった発電パネルは丸見え。こうした問題を解消する製品が、2021年に創業したモノクロームが開発した「Roof -1」です。一見すると、立はぜ葺きのガルバリウム鋼板屋根にしか見えません。

デザイン性の高さは発売当初から注目を浴び、「MC -EN@Akiya Smart Village」をはじめ、メディアへの露出が多い建築作品や、オフグリッドハウス・トレーラーハウスなどで採用されています。その大きな理由は、ガルバリウム鋼板の色に合わせた特殊加工で発電部が黒くなっているから。

 

南向きの片流れ屋根に「Roof-1」を取り付けた「MC-EN@Akiya Smart Village」(設計:中川エリカ建築設計事務所)。太 陽光発電(セル)に合わせ、発電部以外も黒で統一されているので、シックな雰囲気の立はぜ葺き屋根にしか見えない。屋根面積は120㎡で設備容量は9kW

屋根材1枚の寸法は、発電部(L×W×T)が1,830×350×25㎜、屋根部が1,915×384×30㎜(フルサイズの場合

「Roof-1」(発電部)の断面構成。黒色ガルバリウム鋼板上のバックシートに、黒色のセル+EVA(封止材)を張り付け、表面を特殊フィルムと強化ガラスで保護している

しかも、棟部・軒先などの詳細図を見ても、特殊な納まりはなく、輪郭も屋根そのもの。しかも、立はぜ葺きのモジュールに合わせて発電部が設計されているので、発電しない屋根部と組み合わせると、屋根そのもののように見えるのです。

 

「Roof-1」を取り付けた切妻屋根の納まり(棟・軒先)。一般的なガルバリウム鋼板の屋根と同じような納まりとなっている(軒先の納まりは片流れ屋根と共通)

 

採用を検討する際に気になるのが、発電を含めた製品の耐久性です。発電の出力保証は25年、ガルバリウム鋼板の塗膜保証(フッ素樹脂系塗装)は20年、穴あき保証は20年であり、いずれも申し分ありません。塩害が懸念されるガルバリウム鋼板自体の耐候性も高く、海岸から500mでも採用が可能[※1]。飛び火認定番号も取得しているので、防火地域・準防火地域でも安心して使えます。

 

※1  海岸から500m未満は10年保証(波の飛沫が直接かかる場合を除く)

カバー工法を含めて改修用途にも対応

「Roof-1」は、今後の需要増が期待できる屋根の改修にも対応。瓦屋根やガルバリウム鋼板に関しては屋根仕上げ葺き替え用途として、化粧スレートではカバー工法用途として採用できます※2]

 

「Roof-1」は既存建築の屋根にも搭載可能。化粧スレートの屋根に関して、カバー工法にも対応している。写真はトタン屋根の葺き替えで「Roof-1」を採用した「冷泉小屋」。屋根面積は130㎡ で、設備容量は15kW

※2  カバー工法対応は2024年4月から、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県で先行受付けを開始したのみ。その他の府県については応相談

 

施工は、建設業の許可を取得しているモノクローム建設や認定施工店が責任施工で行います。立はぜキャップを外せば、故障箇所の交換が可能であり、メンテナンス性も高いです。

 

「Roof-1」の取り付けは、モノクローム建設の責任施工となっており、建築工事と明確に分離されている(材のみ販売も可能)。野地板までの施工を建築工事で行えば、防水層(改質アスファルトルーフィング)から「Roof-1」の設置、棟換気部材の取り付けまではモノクローム建設で行う。具体的には、改質アスファルトルーフィングを敷設→吊子金具の取り付け→凹凸のあるバックアップ材の取り付け(発泡スチロール製で配線ルートにも利用。ある程度の断熱効果も期待できる)→「Roof-1」(発電部・屋根部)の取り付け→立はぜキャップの取り付け、という手順で行う。立はぜキャップは取り外しが容易になっており、発電部に故障があった場合には、該当部分を取り換えられる

 

「Roof-1」は、パワーコンディショナーやソフトウェア(専用アプリ)に加え、オプションで蓄電池や太陽光発電を利用した給湯器「おひさまエコキュート」[※3]を組み合わせて、建築に組み込みます。特にソフトウェアは、家の壁に美しく一体化したタッチパネル式のHEMS「Home -1」も選択可能です。

※3  モノクロームは2024年4月、ダイキン工業とともに、モノクロームが開発するエネルギーの発電システムおよびコントロールシステムと、ダイキン工業が開発する空調機器や「おひさまエコキュート」の接続および制御の連携を進める業務提携開始を発表

 

将来的には「Roof-1」に新色を追加するなど、美しい太陽光発電の屋根を追求するモノクローム。本社を構える横須賀市(神奈川県)は、「MC-EN@Akiya Smart Village」や「Akiya-E」(設計: 能作文徳建築設計事務所+studio mnm)といった建築を見学可能。ぜひ一度、訪ねてください。