知識・能力・情熱・関心がモノを言う!
多岐にわたる業務をまとめ上げる、建築・不動産の企画開発とは?
建築・不動産企画は、事業そのものの実現可能性の検討や事業システムの構築など、顧客の立場に立って具体的かつ緻密に事業の実現を考えるところにポイントがあります。
顧客ニーズの把握をはじめ、市場分析、立地分析、敷地調査、用途選定、コストプランニング、空間計画など、非常に多岐にわたる業務があるため、当然、幅広い分野についての相応の「知識」と「能力」が求められます。
また、多方面にわたる人々との協力関係を築くことが大切で、建築・不動産企画の担当者にとって何よりも必要なものは、人間や社会などに対する「情熱」であり、「関心」であると言えます。
企画業務のフローを理解して、プロジェクトをコントロール
事業プロセスは、企画立案段階、企画推進段階、建設段階、運営段階の大きな4つの段階に分けられます。企画のフローも、これらの4つの段階に応じて進められます。
このうち企画立案段階は、プロジェクトのおおむねの方向を定める段階。その意味で企画のウエイトが特に高い段階といえます。したがって、一般に、この段階においては企画の業務フローも細かく分けられることが多く、この企画依頼から企画書作成、プレゼンテーション、方針決定までの業務を狭義の企画と呼ぶこともあります。
ただし、企画立案段階に続く企画推進、建設、運営段階の業務も、建築・不動産企画の中で欠くことのできない重要な業務であることには変わりはありません。
「事業の目的」を明確にして的確な企画立案を!
顧客ニーズの整理の仕方
建築・不動産企画は顧客ニーズの実現を目的としているので、顧客ニーズ別の視点で企画をパターン分けしておくことは、実務上、非常に役に立つことが多いです。また、企画を実現していくうえで解決すべき問題や、顧客を説得するうえでのポイント、企画書の書き方、プレゼンテーションの方法などは、顧客ニーズ別の切り口でポイントを押さえることが可能となります。
顧客の種類は、大きく個人と法人に分けられ、個人はさらに一般個人と会社オーナーに分類されます。
一般個人の場合の事業目的は、相続対策、土地の有効活用、資産形成、所得税や固定資産税等の節税対策などが中心。会社オーナーの場合も、基本的には一般個人と同じですが、事業承継や法人税の節税対策なども含まれる場合が多くなります。
一方、法人の一般企業の場合には、資産活用、資産形成、節税対策のほか、企業の収益対策や社会貢献、社宅や寮などの福利厚生なども事業目的に。企業資産の約4割は事務所や店舗、工場、倉庫、住宅などの不動産といわれており、企業不動産についての企画の重要性は極めて高いと言えます。
複雑化する建築・不動産プロジェクトを成功に導く!
チーム編成やコーディネートがポイント
建築・不動産プロジェクトを取り巻く環境の複雑化・高度化に伴い、多くの企画主体が企画業務の分野に進出してきていいますが、実際のプロジェクトでは、これらの企画主体が単独で企画業務全般を行っているケースあまり見られません。特に、大規模かつ複雑なプロジェクトになるほど、多様な専門的ノウハウをもった異業種の専門家で構成される企画チームによって、企画業務が遂行されることが多くなっています。
企画業務がチームで行われる場合、企画チーム全体の方向性を定め、業務分担やスケジュール管理を行い、プロジェクトチーム内での調整を図りながら、プロジェクトをリードしていくコーディネーター(プロジェクトリーダー)の存在が不可欠となります。プロジェクトリーダーは、顧客との事前打合せで確認した企画の目的や企画の範囲、顧客の状況や認識レベルなどをチームに伝え、予算や外注先の選定などを含めた方針を明確にして、事業実現に向けてチーム内のマネジメントを行うことが求められます。
※プロジェクトリーダーは、コーディネーター的なマネジメント能力が必要であり、事業主体がその役割を果たすケースもあるが、設計者やコンサルタント、あるいはゼネコンや金融機関の中の人間がその役割を果たす場合も多い。
ここでは、企画開発のキホンの一部を紹介させていただきましたが、本書では、気になる相続税価格の求め方や、事業コンセプトの考え方、建築法規のキホンなど不動産企画開発に関わる知識を網羅的に解説しています。
より深く学びたい方は、是非ご覧になってください!
主な章構成
巻頭企画①特別対談
区分所有法の法改正で何が変わる?マンション建替えを巡る展望と課題を徹底解説!
巻頭企画②最新動向
建築・不動産の企画のプロが知っておきたい税制改正・法改正の動向
chapter1:建築・不動産企画のキホン
chapter2:市場・立地調査のキホン
chapter3:用途業種の選定と最新企画動向
chapter4:敷地調査のキホン
chapter5:建築法規のキホン
chapter6:賃貸企画のためのお金と税金のキホン
chapter7:建築・不動産と相続対策のキホン
chapter8:おトクな事業手法と企画書作成術
土地の読み方から不動産有効活用策、建築法規、収支、税務、不動産相続対策、おトクな事業手法までを詳細に解説!
『都市・建築・不動産企画開発マニュアル入門版2024-2025』
著者 田村 誠邦、甲田 珠子
定価 2,800円+税
ページ数 316
判型 B5判
著者プロフィール
田村誠邦
株式会社アークブレイン代表取締役・一級建築士・不動産鑑定士/東京大学工学部建築学科卒業、博士(工学)。三井建設株式会社、シグマ開発計画研究所を経て、1997 年株式会社アークブレインを設立。2011 年4 月~ 2021 年3 月明治大学客員教授・特任教授を歴任。主な業務実績:同潤会江戸川アパートメント建替事業、求道学舎再生事業。2008 年日本建築学会賞(業績)、2010 年日本建築学会賞(論文)受賞。主な著書「建築企画のフロンティア」(財団法人建設物価調査会)、「マンション建替えの法と実務」(有斐閣・共著)、「建築再生学」(市ヶ谷出版社・共著)、「都市・建築・不動産企画開発マニュアル」「家づくり究極ガイド」「住宅・不動産で知りたいことが全部わかる本」(エクスナレッジ・共著)。
甲田珠子
株式会社アークブレイン・株式会社COCOA 取締役・一級建築士/東京工業大学工学部建築学科卒業、同大学大学院修士課程修了。株式会社熊谷組を経て、株式会社アークブレインに入所。主な著書「住宅・不動産で知りたいことが全部わかる本」(エクスナレッジ・共著)、「土地・建物の[税金]コンプリートガイド」(エクスナレッジ・共著)。