【建築知識・試し読み】配管フェチ必見!?住宅からプラネタリウムまで、建築設備が丸わかり!

建築知識2024年12月号の特集は、「水族館・プラネタリウム、酒蔵から客船ターミナルまで 建築設備大全」。空調方式や受電方式の違いはもちろん、さまざまな用途の建築設備を事例ベースで徹底解説! 住宅やオフィス、飲食店はもちろん、競馬場、水族館、プラネタリウム、博物館、劇場、斎場、アリーナ、空港ターミナルまで、さまざまな用途の建物をイラスト化。普段は見えない設備機器や配管が一目で分かります!

宇宙に夢中になる!最新投映技術と映像・音響設備

プラネタリウムではドームスクリーンが天井を覆っており、空調設備やスピーカーなどの音響設備は主にスクリーンの裏に設置されています。実はドームスクリーンには小さな穴が無数に空いており、スクリーン裏のスピーカーからの音が通るようになっています。解説者はコンソールと呼ばれる操作卓で、音響はもちろん、投影機や照明を制御しています。

イラスト:あすみん(松永亜澄)

光学式投影機とビデオプロジェクターを併用したハイブリッド式プラネタリウム

また、プラネタリウムに欠かせないのが、宇宙空間や星空を投影する投影機。最新のプラネタリウムでは、光学式投影機とビデオプロジェクターの両方を利用したハイブリッド式が主流です。
ドーム中央に設置される機械が光学式投影機。星の位置を正確に投映できるほか、天の川や変光星、星の瞬きを表現できる機能ももっています。
ビデオプロジェクターは星空以外にも動画や画像など、あらゆる映像に対応できます。光学式と比べると星の美しさや精度が劣るため、星空は光学式投影機、文字や映像はプロジェクター、のように柔軟に使い分けています。

冷房と暖房で空調方式を切り替えられるオフィス

オフィスでは省エネ性と快適性の両立や、新鮮な空気を取り入れることなどが求められます。ここでは、夏期は天井輻射パネルによる冷房、冬期は床から微風速を吹き出す暖房とし、1年を通して快適な執務空間を実現しました。

イラスト:夕凪

全熱交換機能を有するマルチモードロータ空調機

輻射式冷房を使用する場合は、輻射パネルの結露を防止するための湿度コントロールが必要。ここではマルチモードロータ空調機を採用しています。
マルチモードロータ空調機とは、夏期は除湿ができるデシカントモード、冬期は全熱交換モードに切り替えることで空調負荷を効率よく処理することができる機器。

大学施設では各室の使い方に応じて空調方式を使い分ける

大学施設には多様な規模の部屋があり、その用途や使用頻度もさまざま。たとえば、春・夏の長期休暇中は講義室の利用頻度が落ちる一方、休日にも開放される空間もあります。すべての部屋を同じように空調していては省エネ効率が悪いため、長時間使用される場所には省エネ性能の高い設備機器を使用するなど、使い勝手と環境に配慮した設備計画が必要です。

イラスト:オノタツヤ

この建物では、大教室を中央熱源方式、小教室を個別空調方式で空調を行っています。大教室は床下チャンバーを使用した床吹き出し空調を採用。これにより、機器更新時の内装解体工事を不要とし、ライフサイクルコストの大幅な削減を図りました。

近年の大学施設では、ラーニング・コモンズと呼ばれる学習空間が設けられる場合が多くなっています。学生たちはここで課題に取り組んだり、集まってディスカッションを行ったりと、主体的な学びの場として活用されます。このような場所は広義時間以外の利用も想定され、年間のエネルギー消費量も大きくなるため、コージェネレーションシステムやデシカント空調機などを取り入れた省エネ対策が必要です。

コージェネレーションシステムとは?

電気と熱など2つのエネルギーを同時に生産するシステムをコージェネレーションシステムといいます。たとえば、天然ガスや石油、LPガスなどを燃料として、エンジン、タービン、燃料電池などにより発電しながら、その際に生じる排熱を回収して給湯や暖房に利用します。そのなかでも環境負荷が低い燃料と高効率発電機を用い、省エネ効率を特に高めたシステムのことをマイクロコージェネレーションシステムといいます。

デシカント空調機とは?

デシカント空調機とは、デシカント(乾燥剤)を組み込んだ省エネ効果の高い空調機。一般的な空調機は、除湿のために空気を過冷却した後、設定温度まで再熱して室内に吹き出します。一方、デシカント空調機は乾燥剤を用いるので、除湿のための過冷却が不要で、その分エネルギー消費が少なく済みます。

さまざまな用途の建築設備を立体イラストで解説!

さまざまな用途の建築設備を実例をもとにした立体イラストで分かりやすく解説!
普段は見えない配線・配管のルートが一目で理解できます。
押さえておきたい建築設備の「基本」と「仕組み」だけでなく、
水族館、プラネタリウム、酒蔵、客船ターミナルなど特殊な用途の設備機器・設備計画も幅広く学べる1冊です。

用途一覧
集合住宅(複合用途)/商業施設(複合用途)/高層オフィス/オフィス/小・中学校/大学施設/学生寮/研究施設/市庁舎/図書館/病院/診療所・福祉施設/子育て支援施設+図書館/プラネタリウム/カフェ/醸造所/水族館/博物館/劇場/競馬場/展示場/放送施設/斎場/アリーナ/空港ターミナル/国際客船ターミナル/住宅/宿泊施設/温浴施設/サウナ

さまざまな用途の建築設備を、実例をもとにした立体イラストで分かりやすく解説! 普段は見えない配線・配管のルートが一目で理解できます。

建築知識2024年12月号

定価 1,800円+税
ページ数 134
判型 B5判
発行年月 2024/03
ISBN 4910034290444